衝撃の甲子園デビューだ! 阪神ドラフト3位江越大賀外野手(21=駒大)が、人生初となる甲子園で2安打をマークした。ソフトバンクとのオープン戦。注目の初打席はなんと松坂大輔投手(34)から右前打。「平成の怪物」に注目が集まった一戦で、江越の名を全国に発信だ。前日3日の2ランに続くフィーバーで開幕1軍がくっきりと見えてきた。

 初めて立った甲子園の打席が忘れられないものになった。2回無死一塁。18・44メートル先にはあの松坂がいる。「最初は緊張しました。打席からの景色を見てすごいなと」。相手に、聖地の雰囲気に、のまれそうになった。それでもやすやすとベンチに帰らないのが江越だ。カウント1-2と追い込まれた4球目に食らいついた。

 「アウトコースの真っすぐにしっかりと自分のポイントで打つことができました。ああいう打球を増やしていきたい」

 142キロ外角直球を、広く空いた一、二塁間へ転がした。前日3日は豪快にバックスクリーン左へ1発。だが、大事な局面で右打ちもできる。「実戦向き」の真骨頂を、全国注目の打席で見せつけた。ルーキーが松坂を捉える姿に甲子園のボルテージが上がる。聖地初登場の「江越大賀」は期待を裏切らなかった。

 「(監督の指導を)意識してやっている段階なんで。何も考えずに体が動くようにならないといけない」

 前日の2ランから続く好調ぶりにも、うぬぼれるそぶりは全くない。3月に入り和田監督から受けた2日間の熱血指導。下半身の使い方についての助言をきっかけに再び上昇気流に乗った。9回には左腕飯田から再び右前打。対左投手のオープン戦通算成績は6打数3安打、打率5割だ。主力が軒並み出場する中、大事をとって欠場した福留に代わり起用された。結果で応える姿に和田監督も「とにかく数多く打席に立って、早くセ・リーグの状態を覚えていかないと」と思わず1段階上の要望を突きつけた。

 「1つ1つのチャンスでアピールできるようにしたいです」

 求められるレベルは、開幕1軍生き残りをすでに超えた。スタメンはもちろん、左投手対策、代走、守備固め。戦力として、不可欠な男となりつつある。【松本航】

 ◆江越大賀(えごし・たいが)1993年(平5)3月12日、長崎県南島原市生まれ。長崎・海星では投手兼外野手で甲子園出場はなし。高校通算26本塁打。駒大では1年春から東都リーグに出場し、大学通算11本塁打。名前は「大は土台のしっかりした人間に。賀はみんなに祝ってもらえるように」と命名された。182センチ、83キロ。右投げ右打ち。