開幕前哨戦でDeNA中畑清監督(61)が、ガチンコ勝負を挑んだ。巨人と最初で最後のオープン戦に自然と気持ちが奮い立った。「戦う前から意識してやっていこうや! とミーティングで話していた」と、本番さながらのモチベーションで宿敵と対峙(たいじ)。序盤の3回までに先発高崎が4失点し、劣勢を強いられたが鮮やかな逆転劇で“先勝”した。

 理想とする試合展開だった。4点を追う3回1死一、二塁。巨人から移籍したホセ・ロペス内野手(31)が大竹の甘く入ったスライダーを仕留めた。古巣のファンが陣取る左翼席に飛び込む3ランで反撃ムードに火を付けた。オープン戦の打率4割を超える助っ人は「巨人に所属していたのは過去のことで特別な感情はない。自分の仕事をするだけ」と涼しい顔でダイヤモンドを周回。7回の井手の逆転3ランにつなげる一打に中畑監督も「ロペスが本塁打でいけるぞという雰囲気を一気につくってくれた」と、新主砲の働きに手応えを隠さずにはいられなかった。

 本番を想定したシミュレーションも敢行した。2回1死一、二塁の守備では、一塁手ロペスのサインプレーでけん制を入れた。アウトにはならなかったが、足を武器にする走者片岡に緻密な守備を印象づけた。さらに指名打者を使わずに中継ぎ陣を全員待機させ、東野-加賀-林とつなぎ、9回は抑え候補の国吉で締めくくった。

 ここまでのオープン戦成績は7勝3敗2分けで大きく白星が先行する。「こんなにうまくいっていいの? 開幕からうちが狙っているパターンだよ。うまくいきすぎてるから逆に警戒していきたいね。私は気が小さいので…」と中畑監督。ナイターでロッテが敗れ、オープン戦首位に浮上した。この勢いで開幕へ突き進む。【為田聡史】