獅子が強い。西武が13年ぶりに開幕4連勝だ。8回を増田達至投手(26)が4戦連続ホールド、9回を高橋朋己投手(26)が4戦連続セーブで締め、開幕からの日本記録をともに更新。鉄板の勝利の方程式に田辺徳雄監督(48)は「この展開だと投入しないと。打線がもう少し点を取ってくれたら…」と少し注文をつけた。だが4戦中3戦を1点差で制したことに「昨年は1点差負けを嫌というほど味わった。何とか僅差のゲームを勝ちにつなげようというのがある」と1点差で16勝32敗だった前年のひ弱さが変化してきたことを感じた。

 逆転劇が勝負強さを象徴していた。7回2死から金子侑が安打で出塁。「塁に出たら思い切って走る」と二盗に成功。秋山、栗山が連続四球でつなぐ。浅村は徹底した外角攻めにフルカウントで読みを固めた。「絶対に外で来る。半分、ギャンブルチックにいった」。勝負をかけた外角直球を強引にいかずに右打ちで逆転の2点適時打を決めた。

 クリーンアップに打点王、本塁打王のタイトルホルダーを配した破壊的な打線が売りだが、フルスロットル状態ではない。4戦でチーム本塁打はゼロ。浅村もオフの左肩手術の影響があり、実戦は3月初旬からでオープン戦は打率1割1分4厘で終えた。宮地打撃コーチは「4月はブンブン振り回すのではなくミート中心で中村につなげよう」と緊急措置を促した。ロングティーでキレをつくりながら、実戦では場面に応じて大阪桐蔭出身者の個性であるフルスイングを封印し、チーム打撃を優先させた。

 吉兆の開幕4連勝だ。最後に遂げた02年は優勝。球団史をさかのぼれば「開幕4連勝以上」は過去10度中5度優勝し、Aクラス入りは9度。現在の西武になってからは3度中3度優勝と100%の鉄板データだ。田辺監督は「まだクリーンアップが本調子でないから、日替わりだな」。能力が全開になれば、本物の強さを見せられる。【広重竜太郎】