1球に大きな悔いだけが残った。DeNAが阪神に競り負け、今季ワーストで13年8月以来となる7連敗に沈んだ。苦境を打開できない状況に借金も今季最多の3に膨らんだ。中畑清監督(61)は「ここのところ詰めの1球が甘いのが続いている。ゲームを決める場面で意図が伝わってこない。同じミスを繰り返している」と勝負どころでの“球際”の弱さを厳しく指摘した。

 同点に追いついた直後の9回だった。抑えのルーキー山崎康と黒羽根のバッテリーが手痛いミスを犯した。2死一、二塁のピンチで4番ゴメスを迎えた。2球続けて直球でカウント0-2に追い込みながら3球目に外角高めの直球を投げ込んだ。わずかにボールゾーンではあったが、捉えられた145キロの直球は中堅手・荒波の頭上を越える決勝2点適時打。川村投手コーチも「阪神の4番に対する球種のチョイスに悔いが残る」と、首をかしげる1球で追い上げムードを終息させてしまった。

 黒星が続く中で同じ光景が繰り返されている。連敗の入り口になった12日の中日戦でも延長12回に加賀が、ルナへの初球が甘く入ってサヨナラ打を食らった。6連敗目を喫した19日のヤクルト戦でも2点リードの8回に林が、上田にカウント0-2からの3球目に同点適時打を浴びた。中畑監督は「2試合続けてやってしまった。同じミスを犯すチームレベルということ。1球の怖さは、おととい感じているはず」と試合直後のコーチミーティングで徹底を呼びかけた。

 この日、6回まで阪神先発の岩田の前に無安打と打線も苦しい状況の中にある。それでも3点を追う7回に筒香、ロペスの連続適時打で2点を返し、8回に代打後藤の今季1号で一時は同点とした。「諦めない姿、諦めない野球をやっていくしかない」と中畑監督。1球を糧に1勝をつかみ取れば流れは変わる。【為田聡史】