日本ハム大谷翔平投手(20)が、アクシデントに見舞われながらも開幕5連勝を達成した。オリックス6回戦は5回2安打無失点。5回2死一塁、駿太への3球目で右ふくらはぎをつって1度ベンチに下がったが、治療後にマウンドに戻って「0」で抑えた。球団では89年西崎幸広氏以来26年ぶりとなる、開幕から5戦5勝の偉業。連続無失点イニングも「27」まで伸ばした。

 2球に魂を込めた。5回2死一塁。大谷は、カウント2-1で治療に行き、戻ってきた。駿太へ148キロ、154キロと直球を続け、三ゴロに仕留めた。「2死だったので、何とかあと1人投げきりたいと思った」。開幕戦同様右ふくらはぎをつった。だが、5回を投げきり、2安打無失点で無傷の5勝目を手にした。「今日も中継ぎに抑えてもらってる。もっと自分で引っ張って勝てれば」。納得はしていないが、開幕から5戦全勝は89年西崎氏以来の快挙だ。

 課題の1回を連続三振で立ち上がり、波に乗った。2回坂口は155キロ、3回駿太は152キロの内角直球でバットをへし折った。許した安打は内野安打を含め2本のみ。最速158キロの速球とフォークのコンビネーションで二塁も踏ませなかった。「真っすぐもある程度(キレが)よくなった。変化球も精度がよくなって、四球(の心配)はなく純粋に相手と勝負できていると思います」。アクシデントに見舞われても、連続イニング無失点は「27」まで伸ばした。

 この日と同じく足をつった開幕戦。降板することになる4、5球前から、栗山監督はベンチで声を発していたという。「アツ(厚沢投手コーチ)、足やってるぞ」。その時点で異変を察していたのは、大谷本人と同監督だけということ。2人の間には、言葉では表せない固い絆が存在する。同監督の54歳の誕生日だったこの日、大谷に白星が付くのは偶然ではなかった。気がかりなのは今季2度目となったふくらはぎの異変。同監督は「いろいろ考える。まだシーズンは長い」。次回登板と野手出場は、状態を見極めていくつもり。秋に最高の喜びを分かち合うために。【本間翼】

 ▼大谷が5回を無失点に抑え開幕戦から5連勝。4日オリックス戦からの連続無失点は27回に伸びた。開幕投手の5戦5勝以上は、04年岩隈(近鉄)が9戦9勝して以来、11年ぶり。日本ハムでは79年高橋直の6戦6勝、89年西崎の5戦5勝に次いで3人目だ。5勝目を記録した時点での成績を比較すると

 高橋直 完投4、被本塁打3、防御率1・54

 西 崎 完投5、被本塁打3、防御率2・15

 大 谷 完投1、被本塁打0、防御率0・80

 完投数は少ない大谷だが、本塁打を打たせないで防御率0点台と、投球内容では2人を上回っている。