中日谷繁元信兼任監督(44)が自身の持つ連続シーズン本塁打の日本記録を27年に伸ばした。4回1死二、三塁。フルカウントから阪神メッセンジャーの高く浮いたカーブを捉え、甲子園の左翼に1号3ラン。5日前に通算3000試合を達成した鉄人がまた大記録を打ち立てた。

 「うまくバットの芯に乗ったというかね。粘って甘いコースを待っていた。うまく反応できた。これで、みんながそういう話をしなくなるから落ち着いて野球ができるよ」

 メッセンジャーをKOする一撃だけに終わらず、第1打席には今季10打席目で初安打。6回に右前打、8回にも左翼線二塁打と連ね、5年ぶり11度目の4安打をマーク。「ヒットの打ち方を忘れるところだった」とうれしそうに笑った。

 キャンプから思うように体調が上がらず、限界も感じ始めていた。そんな状態でも開幕戦のフリー打撃では運勢を占うかのように最後の1球だけ本塁打を狙い、スタンドインを一発で決めた。ここぞの集中力と技術は並外れている。

 40歳のころから変わらぬ練習をこなせるほど体が強い。秋、春のキャンプでは選手メニューと別に1~2時間にわたって若手相手にノックバットを振り「普通のバットに比べたら楽」と、800本を超えた日もあった。筋力トレは欠かさず、数値の目立った減退もないという。今後の先発増について「可能性はある」と調子の良さを認めた。

 若手育成、世代交代が監督としての大きなテーマになっているが、中日の捕手では今季初の3安打。松井雅、桂の成長も認めながら、やはり捕手・谷繁は別次元なのかもしれない。

 不振だった愛弟子・大野を好リード。時にはマウンドで気合を入れ、7回1失点に導いた。ニラミを利かせ、頭を働かせ、自ら体も動かす。こんな上司がいたら、選手たちはイヤでも目の色を変える。【柏原誠】

 ▼前日まで9打数0安打の谷繁が本塁打を含む4安打。自身の持つ連続シーズン安打、連続シーズン本塁打の記録を27年に伸ばした。現在、谷繁は44歳4カ月。本塁打の最年長記録は57年8月18日岩本(東映)の45歳5カ月、セ・リーグ記録は12年9月26日金本(阪神)の44歳5カ月で、44歳以上で本塁打を打ったのは6人目になる。44歳4カ月の猛打賞は98年落合(日本ハム)の44歳5カ月に次ぐ年長記録となり、セ・リーグでは12年4月28日金本の44歳0カ月を抜いて最年長記録。44歳以上の猛打賞は過去延べ9人いるが、全員3安打止まり。44歳以上で4安打したのはプロ野球史上初めてだ。