重々分かっていたけど、李大浩が打ち出すと止まらんねえ。ソフトバンク李大浩内野手(32)が来日初の4戦連続アーチを3ランで決め、10点大勝を導いた。春先のスランプを抜け、10号で日本ハム中田と並びリーグトップ。10戦連続長打ともなり秋山幸二のプロ野球記録にあと1だ。貯金5で首位西武に1ゲーム差。天井が見えてきたぞ。

 トンネルを抜けると、人生最高のときが待っていた。誰も止められない。李大浩がまた打った。3点リードの4回1死一、二塁。初球カットボールを捉え、左中間のテラス席に運んだ。来日初となる4戦連発。10号3ランでリーグトップの日本ハム中田に並んだ。

 「初球からフルスイングするつもりだった。野球をやってきて、すべての中で一番状態がいい。ホームランのペースも早いし、最高だ」

 韓国ロッテ時代の10年には9試合連続本塁打の世界記録を作った。その男にして今が最高の時という。

 「4月は1本がほしかった。それがいきなりホームラン王の話かい? 130試合超えたら、そういう質問をしてよ」

 本塁打王の話題に、思わず苦笑いした。それもそのはず、開幕直後は「人生最悪」というどん底だった。1カ月前の4月12日には、打率1割9厘。とにかく打てなかった。「2桁(1割以下)になる心配をしたよ。もう下にいかないように、全力でやっていく」。不振脱出の鍵は左足にあった。打撃の始動を早め、より高く上げた。そうすることで、間が十分に取れる。投手とのタイミングが合えば、打球は飛んでいく。「練習の時からずっと意識してやっている。これでいい成績を残せているから、最後まで維持したい」。本塁打の打席は頭になかったカットボール。体が自然に反応するほど絶好調だ。

 打率は3割目前にまで浮上した。落ち込んだ分だけリバウンドは高い。10戦連続で長打を記録し、秋山前監督が94年のダイエー時代に記録したプロ野球記録にあと「1」に迫った。マルチ安打は6戦連続。記録ラッシュの大暴れがあれば、3カード連続の勝ち越しも当然だ。

 工藤監督は理想的な攻撃に、満足げだった。「いい点の取り方だった。今日のような展開が増えていくんじゃないかな」。上位打線が出塁し、主軸が走者を一掃する。今季最多15安打で10得点。首位西武はもう1ゲーム差だ。【田口真一郎】

 ▼李大浩がリーグトップに並ぶ10号。4試合連続本塁打は来日4年目で初めてで、ソフトバンクの選手では04年9月14~23日ズレータ以来、11年ぶり。すべてヤフオクドームで打っており、同球場で4戦連発は04年7月19~23日松中に次いで2人目だ。4月29日日本ハム戦からは10試合連続安打となったが、この間に二塁打6本、本塁打6本を放って全試合で長打をマーク。94年秋山(ダイエー)が9月17日~10月7日にマークした11試合連続長打のプロ野球記録へあと1試合に迫った。