主砲の大爆発で、交流戦の大勝スタートを決めた。日本ハム中田翔内野手(26)がパ・リーグの本塁打キング独走の17号3ランなど自己最多タイ、今季2度目の1試合5打点。ヤクルトから2桁12得点で、会心の逆転勝利を奪うキーマンになった。序盤はビハインドの苦しい展開。3回に中犠飛、5回は三ゴロの間に打点を稼ぎ、6回だ。ここ8戦で5発目となる右越えへのダメ押し弾でケリをつけた。打点も45で単独トップに立ち、2冠。再び貯金を今季最多タイの9へと伸ばし、首位をキープした。

 日本の主砲が、神宮の杜(もり)の主役を張った。4番のオーラがプンプン漂った。中田が、ゆったり右打席に向かう。6回2死一、二塁。両足で丁寧に足場をならすと、鋭い眼光をヤクルト徳山へ向けた。勝負は一瞬だ。初球。真ん中低めに来た126キロのスライダーを、しばいた。「完全に振り遅れだったな」と、タイミングを外されても関係ない。持ち前のパワーで右翼席へ17号3ランを放り込んだ。

 思わず、にやけた。ダイヤモンドを1周中、珍しく笑みがこぼれた。ヒーローインタビューで突っ込まれると「クールに1周したつもりなんですけど」。とぼけてスタンドのファンも笑わせた。この日は3回に犠飛、5回は三ゴロの間に打点を稼いだ。1試合5打点は今季2度目で自己最多タイ。「ピッチャーを楽にさせてあげたかったのでね、仕事が出来たと思う」。感慨に浸った。

 本塁打を量産し続けても、変わらない思いがある。「ホームランを打つのは難しい」。周囲から打って当然と期待される。4番に課せられた使命を理解するが、信念は曲げない。「苦手な投手でも、まぐれでタイミングが合えば打てる。だから面白い。それが野球の面白さ」と言い切る。この日も「まぐれで打てた」と、あっさり認める。順調に数字を積み重ねる原点に、おごらない姿勢がある。

 謙虚な主砲は打点も「45」に伸ばして両リーグトップに立った。「みんなでチャンスを回してくれて、必死にホームへかえってくれる人がいる」と、感謝する。責任感の強さに加え、周囲の期待に応える確率が上がっている。「もっともっと貢献したいね」。5回には相手捕手へ体当たりする激走で1点をもぎ取った。献身的な4番の躍動はチームを活気づける。打線は今季5度目の2ケタ得点。12球団トップでチーム総得点は200点を超えた。

 5月は9本目のアーチで月間本塁打数の自己記録も更新。「数字の話はしないで。気にしちゃうから」が最近の口癖も、量産態勢は止まる気配がない。交流戦でも頼もしい4番がセ界を席巻する。【木下大輔】

 ◆中田の5打点 1試合5打点は自己最多タイで通算8度目。今季は4月15日ロッテ戦(札幌ドーム)で5号3ラン、6号2ランと1試合2本塁打を放った。シーズン別の内訳は11、12年に2度ずつ。13、14年に1度ずつマーク。交流戦では計4度目で11年6月18日広島戦(マツダ)、12年6月18日DeNA戦(横浜)、14年6月3日広島戦(札幌ドーム)で記録している。