楽天が“足攻”で交流戦初勝利を飾った。1点を勝ち越された直後の4回。2死一、三塁から一塁走者の枡田が二盗を決めて好機を広げると、後藤の2点適時打で逆転。その後藤も二塁を陥れ、「後ろの牧田が遅れずによくついてきてくれた」(後藤)と、すかさず四球で歩いた牧田と重盗。小関の左前打で、そのまま2人が生還し、4盗塁を全て得点につなげて、流れをつかんだ。

 1イニングで4盗塁は今季初。2死から、全て2球目以内に仕掛けて成功させた。大久保博元監督(48)は「これがうちの野球。勇気を持ってスタートを切ってくれて100点なのに、さらに成功させてくれて1000点をあげたい」と、攻めの姿をたたえた。

 春季キャンプから掲げてきた“超機動力野球”。積極的に次の塁を狙う姿勢を、俊足選手だけでなく、外国人を含めた全選手に求めてきた。試合前には「うち本来の野球をやるために、出来ることをやる」と宣言。盗塁は基本的にベンチからのサインではなく、選手個人の判断に委ねているが、その言葉通りにナインが動いた。初球の重盗直後に2点適時打を決めた小関は「(重盗が)あるかな、と思っていた。初球から振っていくつもりでしたが、スタートしたのが見えたので(バットを)止めた。走ってもらって、結果的に適時打になって良かった」。デーブ野球が浸透している証しの一打だった。

 もちろん、ポレダのクイックモーションが大きい点も事前に研究済みだった。これで今季1試合4盗塁を決めたゲームは勝率10割。準備と勇気が実を結んでのG倒を、浮上への着火剤にする。【佐竹実】

 ▼楽天が4回に4盗塁。楽天の1試合最多盗塁は5盗塁(過去6度)だが、1イニングに4盗塁は球団史上初めてだ。今季の楽天は49試合で48盗塁をマークし、盗塁数は日本ハムの53盗塁に次いで両リーグ2位。日本ハムは中島13盗塁、西川11盗塁と、2桁盗塁が2人いるのに対し、楽天は藤田ら3人の6盗塁が最多。2桁盗塁はいない楽天だが、両リーグ最多の15人が盗塁を記録している。