目を覚ました獅子にガブリとやられた。阪神横山雄哉投手(21)が西武の大砲メヒア、中村にアーチをかけられ、3回持たず4失点KO。G戦デビューの快投から一転、プロの洗礼を浴びて初黒星がついた。チームの連勝は4で止まり、貯金生活もお預け…。高い勉強代は次回登板で返せばいい。悔しさを糧に、ドラ1ルーキーの牙が強くなる。

 自慢の真っすぐが、お腹をすかせた獅子の餌食になった。ルーキー横山が2度目のマウンドで痛烈なプロの洗礼を浴び、苦い初黒星を喫した。

 「カウントを悪くしてしまった。腕が振れていなかった。連勝も止めてしまい先発の役目を果たせなくて、チームに申しわけなかったです」

 女房役鶴岡に先制点をもらった直後の2回だった。先頭メヒアの3球目、141キロ直球が真ん中に甘く入り、右翼へ同点8号ソロを浴びた。何かがおかしい…。最速151キロを誇る直球が、この日は140キロにも満たないこともあった。デビュー戦の21日巨人戦は低めにビシビシ決まっていた威力抜群の直球が、この日は走らない。カウントも取れず、ボール先行の苦しい展開。「真っすぐが走っていなかったので、そうなってしまった」とカーブに頼らざるを得ない。

 それが命取りだった。3回、そのカーブを狙われた。浅村に勝ち越し打を許し、2死二塁。4番中村には1ボールからの2球目、カーブが高めに浮いた。当たった瞬間、プリンスドームの左翼席が沸く。マウンド上に、ぼうぜんと打球を見送る背番号15がいた。「全部打たれるべくして打たれた球でした」と唇をかんだ。和田監督は苦虫をかんだ。「ストライクを取れないというのもあったからね。自分の持ち味である真っすぐで勝負できないときついよね」。

 初被弾、しかも2発をお見舞いされた横山は、プロのレベルを「感じました」。G戦快投デビューから暗転、3回途中KO…。中西投手コーチは「次も。もう1回や」と話し、チャンスが与えられた。次回登板は6月6日の日本ハム戦(甲子園)が有力。嘆いている暇はない。ドラ1位左腕が、悔しさからはい上がる。【宮崎えり子】