DeNAが驚異の粘り腰で昨季覇者のソフトバンクを撃破した。「日本生命セ・パ交流戦」3カード目でついに初戦をものにした。横浜の開港記念日に“黒船”に真っ向勝負を挑んだ。中盤からの失点で、一時は逆転を許したが、終盤で「お家芸」を発揮。8回に4安打を集めて再逆転に成功。中畑清監督(61)が率いるDeNA軍団が黒のユニホームを最難関の強敵を相手に今季17度目の逆転勝利を飾った。

 DeNAが本拠地「横浜」で躍動した。2点を追う8回。球場全体の一体感で敗戦ムードを打ち消しにかかった。先頭の代打松本が中前打で出塁すると、途中出場の白崎も続き、1死一、二塁。井手の右前適時打で1点差に迫ると、なおも一、三塁と好機が続く。打者バルディリスで捕逸の間に、三塁走者白崎が好スライディングで本塁を陥れ同点。沸き立つスタンドに背中を押されるように、最後は2死三塁から荒波翔外野手(29)が、中前に勝ち越し打を放ち、試合をひっくり返した。

 この日は幕末の「黒船来港」がきっかけとなって設立された横浜の開港記念日。黒のユニホームをまとうソフトバンクの猛者たちを今季17試合目の「逆転劇」で打ち払った。逆転を決めた8回の猛攻では、相手中継ぎエースで20戦無敗(18ホールド)の助っ人バリオスを沈めた。とどめの決勝打を放った荒波は「今年は逆転が多いので、終盤に1点でも入るとチームが勢いづく。同点じゃなくて逆転までいけたことが大きい」と誇らしげに言った。

 開港祭の花火大会との共演も鮮やかだった。1回に梶谷が3号先制ソロ、2回にはバルディリスが特大弾7号ソロで続く。さらに、4回には井手がバックスクリーン左に3号ソロを放ち、1発攻勢を展開。チームの本塁打数上位2人、筒香(11本)は右太もも裏痛、ロペス(8本)は左太もも内側の違和感でベンチスタートでも、強力ソフトバンク打線に互角以上の空中戦で主導権を奪いにいった。“打ち上げ花火”から始まり、一時は劣勢に転じたが、最後は地上での“仕掛け花火”で横浜の街を彩った。

 ここまで2カード連続負け越しと波に乗れない交流戦だったが、昨季の覇者相手に大きな白星をもぎとった。中畑監督は「ソフトバンクに逆転されたときは、やっぱり強いなと思った。でも、勝ちにこだわる執念を、みんなで結集して結びつけた。8回の攻撃は今年のうちを象徴しているようだった」と大興奮。開港から150年以上の歴史を刻んできた「横浜」が大いに沸いた。【為田聡史】