ソフトバンクが珍プレーに珍現象が重なり、DeNAに再逆転負けを喫した。1点を追う7回2死満塁で柳田悠岐外野手(26)の投手返しが二塁塁審に当たって中前に抜ける。2者生還と思いきやボールデッドで1点止まり。工藤監督がルールブックを手に抗議したが覆らなかった。直後に押し出し四球で勝ち越したものの、8回にバリオスが3失点して初黒星を喫した。

 波瀾(はらん)万丈の幕切れだった。2点リードの8回に、工藤監督はバリオスを投入。必勝パターンで逃げ切りを図ったが、まさかの展開だ。4安打に捕手高谷の捕逸も重なり、今季ワーストの3失点で初黒星。「球が悪いわけじゃない。打たれただけだ」。右腕は短く言葉を発し、報道陣の質問を制した。17戦連続ホールド記録の後は、4戦で6失点。指揮官は「自信がなくなっているのか。間隔を空けたほうがいいのか、手前にしてあげたほうがいいのか、コーチと話したい」と配置転換を示唆。昨年同様、五十嵐に8回に任せる可能性が出てきた。

 珍事を乗り越えて一時は逆転していた。1点を追う7回2死満塁。柳田の放った痛烈な打球は二塁の渡田塁審に直撃。中堅方向へ転がる間に、2者が生還した。しかし、二塁走者の生還は認められず、同点止まり。工藤監督は「インプレーではないのか」と抗議に出た。1度はベンチに戻ったが、野球規則を見直した。

 野球規則5・09【原注】打球が投手を通過してから、内野手に位置していた審判員に触れた場合は、ボールデッドとなる。

 この文言を読み、ルールブックを持ったまま再び審判に確認に行って、矛を収めた。

 ハプニングにも負けず、直後に内川の押し出し四球で勝ち越し。8回にも代打江川に犠飛で1点を追加した。工藤監督はナインの気力を称賛した。「いいゲームはできた。粘って、点を取ってくれた。野手はやれることをやった」。交流戦の首位から転落したが、明日につながる敗戦だった。【田口真一郎】