まさか幻の祝砲になるなんて-。阪神鳥谷敬内野手(34)が6回、15試合ぶりの4号ソロ。背中痛などを抱えながらフルイニング出場を続けるキャプテンが、6番でも存在感を発揮した。大混戦のセ・リーグを抜け出すには、鳥谷の復活が不可欠。苦境に立ち向かえ!
悲劇の瞬間から、わずか数分後。漏れ聞こえる雨音が寂しい。ベンチ裏の駐車場。鳥谷は薄暗い通路を歩きながら、それでもあえて落胆の表情は見せなかった。下を向く暇などない。そう背中が語っていた。
鳥谷 明日、頑張るしかない。明日勝って…、という感じです。
節目の1日だった。プロ野球史上初の1万試合達成。白星で花を添えるべく、キャプテンのバットがしなった。2点リードの6回2死フルカウント、井納の内角143キロを軸回転でミート。ライナーのまま、4号ソロを青く染まった右翼席に突き刺した。
鳥谷 追い込まれていたし、なんとか塁に出ようと思っていた。
6月10日ソフトバンク戦以来、15試合ぶりの1発で勝利を決定づけたかに思われたが…。まさか、だ。2点リードの9回裏に守護神呉昇桓が逆転劇を許し、4連敗となった。
鳥谷自身、8回の遊撃守備で送球ミスが失策となり、筒香の反撃タイムリーを呼び込んでしまった。人一倍、責任感の強い男だ。想像を絶する悔しさを胸に抱え、次戦の必勝を誓った。
6月28日DeNA戦から2戦連続で7番先発。同30日ヤクルト戦で4打数4安打と大暴れした後も、3戦連続で6番先発だ。主戦場の1番、3番に復帰しない事実を踏まえても、死球による背中痛の深刻さがうかがえる。4月に痛めた右脇腹に近い箇所。心配は尽きないが、この日も連続フルイニング出場を506試合、連続出場を1540試合に伸ばした。
今季のDeNA戦は通算39打数14安打の打率3割5分9厘、2本塁打。横浜スタジアムに限れば計23打数10安打の打率4割3分5厘、2本塁打とさらに相性がいい。3連戦はまだ残り2試合ある。
鳥谷 (1万試合達成は)全然知らなかったし、意識もしていなかった。その中でやれているのは光栄なことですけど…。
節目の一戦だろうが節目でなかろうが、常に持てる100%を出し切ってきた。次戦も同じ。手負いの肉体を、当然のようにフル稼働させる。【佐井陽介】



