ソフトバンク二保旭投手(25)が、筑波大大学院に通う吉井理人投手コーチ(50)の修士論文で取り上げられることになった。プロ野球選手のクイック投法を研究する同コーチが、就任時から研究対象に挙げていた五十嵐とともに、クイックの速い投手として二保が登場する。

 プロ野球界では、セットポジション時、投球動作に入ってから捕手が捕球するまでの時間が1・2秒で平均的とされる。二保は1・1秒を切り、五十嵐にも勝る。さらに、昨季途中までは1秒前後だった。制球の乱れを防ぐため、今の速さに落ち着いたという。2月キャンプ時に撮影を済ませ、聞き取り調査にも協力中だ。

 中学時代「セットポジションはゆっくり投げてはいけない」という思いこみから、自己流で身につけた。クイックが速い自覚はなくても「走ってきてもほとんどアウトになるから、打者に集中できる」とメリットを明かす。今季も相手走者が盗塁を試みたのは28試合の登板でわずか1回。それも結果は失敗だった。

 論文への抜てきに「五十嵐さんは分かりますけど、僕はまだ1年間結果を出したことがない。僕でいいんですかね。恥ずかしいですよ」と恐縮気味。吉井投手コーチは「去年まで2軍にいた選手が、今年は開幕から1軍で頑張って、説得力もある」と理由を明かす。

 走者を背負った僅差の場面や延長戦でも結果を残し続け、5勝1敗4ホールド。飛躍的な活躍は、首位を走るホークスの強さの一因でもある。【福岡吉央】

 ◆二保旭(にほ・あきら)1990年(平2)5月18日、福岡県生まれ。九州国際大付から08年育成ドラフト2位でソフトバンク入団。12年途中から支配下選手。直球は130キロ台後半だったが、現在は140キロ台後半。昨年までプロ通算8試合。今年5月3日オリックス戦でプロ初勝利。182センチ、74キロ。右投げ右打ち。