約4カ月ぶりのアーチが逆転弾! 日本ハム陽岱鋼外野手(28)が26日、西武16回戦(西武プリンスドーム)で1点を追う5回1死一、二塁、西武牧田から右翼へ今季2号3ランを放った。開幕3戦目の3月29日楽天戦以来の本塁打で、同一カード3連勝、対西武7連勝に導いた。首位ソフトバンクとのゲーム差を5に縮めた。

 日本ハムが誇る主役の1人が完全復活だ。陽岱鋼が希望に満ちた放物線を描いた。1点ビハインドの5回1死一、二塁。西武牧田が投じた126キロの直球系を手元まで呼び込んだ。「しっかり自分のスイングが出来た」と打球は逆方向、右翼席で弾んだ。決勝の逆転2号3ラン。「久々にホームランを打ってチームも勝った。気持ちよかった」。開幕カードの3月29日楽天戦以来、実に119日ぶりのアーチで今季5度目の同一カード3連勝を決めた。

 白い歯がこぼれる会心の笑みまで、もがき苦しんだ。今季は故障の連続だった。開幕直後は左太もも裏を痛めて登録抹消。戦列復帰後の5月4日には一塁へのヘッドスライディングで左手親指付け根付近を剥離骨折。再復帰まで約2カ月を要した。「ケガをしたのは僕のせいなので…」。必死のプレーとはいえ、代償の大きさを痛感した。

 歯車がかみ合わなかった1つの要因は、オフの肉体改造にもあった。2月の春季キャンプ中も両ふくらはぎに張りが出るなど、仕上げたはずの肉体が悲鳴を上げた。1月中旬から約2週間、米カリフォルニア州で自主トレ。体脂肪率を減らして筋量を上げたが、思い通りに体が動かない。白水トレーナーによると「筋量が増えたことで、体の動かし方にちょっとしたバラつきがでるだけで体に負担がかかっていた」。進化させた鋼のボディーの扱いに手間取っていた。

 開幕前はトレーナー陣に独自のコンディションメニューを志願。股関節周りの強化やダッシュの際は骨盤の動きを意識して走った。新たな肉体に合わせた動きを体にたたき込む作業。なりふり構わない熱い思いが自身を突き動かした。開幕後2度の故障もチームの勝利を目指した全力プレーが引き金。ようやく心と体が呼応。10試合連続安打とバットも乗ってきた。

 この日敗れた首位ソフトバンクとは5ゲーム差に詰めよった。後半戦3連敗スタートを取り返す今季7度目の3連勝。栗山監督も「ダイ(陽)が元気になってくれるのは大きい」と、手応えもつかんだ。チームに欠かせない攻守の要は「2カ月も休んでる。何とかチームに貢献できるようにやっていきたい」と宣言。勢い十分に、逆転優勝の旗手になる。【木下大輔】