連夜の新井祭りじゃぁ! 広島の4番新井貴浩内野手(38)が決勝打を放ち連勝に導いた。満塁弾を含む4安打4打点の活躍から一夜明けたこの日も先制点と決勝点をたたき出した。得点力不足にあえいでいた打線を4番のバットがよみがえらせた。

 二塁ベースに到達した新井は一塁側ベンチに向き直し、チームメートへ向けて右手を突き上げた。さらに両手をたたいて喜ぶと、気合のシャウト。2試合連続となる決勝打で、チームを連勝に導いた。

 「1打席目もインサイドに入ってきていたので、頭の中にはあった。失投ではなかったのでね」

 4点リードを同点に追い付かれた直後。5回1死一、二塁。追い込まれた新井は、内角高めの球に腕をたたみながら思い切りバットを振り抜いた。快音を残した打球は左中間で弾んだ。二塁走者の生還を見届けると、チームメートに向けて喜びを爆発させた。

 7月は月間打率が2割1分7厘と低調だった。なかなか浮上できなかったチーム状態と重なる。しかし8月に入り、月間打率は3割超え。前日の満弾含む4安打4打点に続き、この日も先制点と決勝打をたたき出した。「徐々にいい反応だったかなという打席はある。そういうのを増やしていかないといけない」。2試合連続2桁安打の打線をけん引しながらも「1日2日でどうこうは言えない。打撃はそんなに甘いものじゃない。気を引き締めて入らないといけない」と冷静だ。

 チームの精神的な支柱。6回3ランの丸は「(得点圏では)新井さんがやってくれるでしょう」と信頼を寄せる。鈴木誠ら若い打者の相談役となり、ときにはアドバイスを送る。助言した選手の打撃練習のときには、1度引き揚げたロッカールームから再びベンチに出てくることもあった。選手からの信頼は厚い。

 新井が導いた連勝で上位浮上へ弾みをつけた。緒方監督は「新井が、追い付かれたけど勝ち越してくれた」とたたえた。再び存在感を増す主砲は「今日は良かったけど、また明日。1試合1試合」とまた新たな戦いを見据え表情を引き締めた。【前原淳】