さあ、並んだ! 中日は5位DeNAに延長12回の熱戦の末に競り勝った。アンダーソン・エルナンデス内野手(32)が勝ち越しの右前打を放った。DeNAとはついにゲーム差なし。勝率でわずかに劣っているが今日26日も連勝すれば2カ月ぶりの最下位脱出だ。今季5戦全敗だった横浜スタジアムの呪縛も解き、上昇気流に一気に乗りたい。

 強く降り出した雨を切り裂いて、エルナンデスのライナーは右前ではずんだ。4-4の延長12回2死一、三塁。右の長田から左の8番手福地に継投したが、両打ちのドミニカンは苦にしない。直球をとらえ、4時間を超える我慢比べに終止符を打った。「本当にうれしい。まだまだあきらめていない。最後の最後までがんばって、3位までには食い込みたい!」と声を弾ませた。

 最近8勝1敗。猛烈な勢いで借金11まで減らし、5位DeNAをついに視界にとらえた。4連敗となったライバルとの勢いの差は初回から歴然だった。苦手の久保を攻め立てた。

 先頭大島の二塁打から3連打。3番ルナの左前打で1点を奪取。たった4球の先制劇でダメージを与えた。「1、2番でいい流れを作ってくれたので、僕も積極的に打ちにいった。先制点は大事」。2死後にはエルナンデスの左中間二塁打で3-0。今季5試合で0勝3敗と苦手とする久保を、3回でKOした。

 苦手の横浜スタジアム。6つ負け越していたDeNAには簡単には勝たせてもらえない。3回。バルデスがバルディリスに2点適時打を許した。最高の勝ちムードが一転した。バルデスは終始不安定で、6回には逆転を許した。

 だが7回に平田の左前打で4-4と追いついた。「それまで抑えられていたので何とか走者をかえしたかった」。これで延長に持ち込んだ。リリーフ陣がひたすら耐え抜いた。12回まで無失点。陰のヒーローはブルペンだった。

 一方で大きな痛手は負った。勝利の方程式である山井、浅尾、田島が2イニングずつを投げた。6連戦の初戦でブルペンに負荷をかけた。だがもう残りは28試合だ。ペースを守って戦う時期は過ぎ、総動員態勢に入っている。最後を締めた6番手祖父江にプロ初セーブがついた。

 ついにゲーム差で並んだ。2カ月ぶりの最下位脱出は目前だ。世紀の接戦といわれたセ・リーグでいち早く脱落する屈辱を味わってきたが、中日の反撃ムードは急速に高まっている。【柏原誠】