脱出成功! 中日が4番不在のピンチを伏兵の活躍で乗り切った。24試合ぶりスタメン出場の赤坂和幸外野手(26)が8回、1点勝ち越してなお2死満塁で2点適時打を放ち、勝利を決めた。4番平田が前日2日の試合で左脚を負傷し、この日は欠場。8年目の苦労人が救った。チームの連敗は5でストップした。

 背番号69の執念が、勝利の女神を振り向かせた。8回、1点を勝ち越してなお2死満塁。6番赤坂が8球目、外角変化球をつかまえた。打球はふわりと上がり、ライト前にポトリ。走者2人が生還した。

 赤坂 厳しいボールばっかりだったけど、いつか甘い球が来ると思った。何とか食らいついていこうと…。

 8月6日DeNA戦以来となる先発出場。しかも右翼でのスタメンは自身初めてだった。7回からは左翼に移り、8回1死二塁の場面では、梶谷の左翼線へ落ちる難しいフライを好捕。ハッスルプレーで期待に応えた。

 試合前の練習からチーム内に不穏な空気が流れた。いつもは明るい平田の顔が浮かない。前日2日の試合で9回本塁突入の際に負傷した左すねの状態が思わしくなかった。110試合に出場し、打率2割8分9厘のポイントゲッターが、ベンチスタート。「代役」として4番打者の定位置でスタメン出場したのが、赤坂だった。

 どっちに転んでもおかしくないような試合だった。1カ月ぶり先発復帰した山井が6回無失点と踏ん張るも、2番手又吉が8回に同点打を許した。8回には大島、荒木、ルナの3連打で勝ち越したが、谷繁兼任監督が褒めたのは、その後の赤坂の仕事ぶりだ。

 谷繁兼任監督 赤坂の2点が大きかった。彼はその1球、その一振りを必死でやっている。状態も悪くなかったし、チャンスを見てスタメンをと思っていた。

 昨年7月に育成枠から支配下登録された。もともとは投手としてドラフト1位で入団。紆余(うよ)曲折を経てようやくチャンスが巡ってきた8年目の苦労人だ。今日4日には26歳の誕生日を迎えた。

 赤坂 もう若手とは思ってません。もちろん、レギュラーは目標。目指しています!

 首位阪神とは9ゲームと大きく差を空けられている。CS進出圏の3位巨人も7・5ゲーム差。ナゴヤドームには、空席が目立つ。だが、プロ野球人生をかけて戦う男は熱かった。目標を失いかけたチームに赤坂が刺激を与えた。【桝井聡】