巨人は5日、東京・大手町の読売新聞東京本社で緊急会見を開き、福田聡志投手(32)が野球賭博に関与していたと発表した。今年8月から9月にかけ、知人男性A氏の誘いに乗り、夏の甲子園大会、巨人戦を含むプロ野球、米大リーグの試合を対象に賭けを行っていた。負け額が百数十万円に上り、A氏が川崎市のジャイアンツ球場に取り立てに訪れ、発覚した。球団は福田を熊崎勝彦コミッショナー(73)に告発する。A氏を紹介した笠原将生投手(24)とともに、謹慎処分とした。

 希望枠で巨人に入団した福田が、野球賭博に手を染めていた。球団が会見で明らかにした調査の内容は、欲望に溺れる過程をたどった生々しいものだった。

 福田は昨年、同僚の笠原から紹介を受け、税理士法人勤務と名乗るA氏と知り合った。賭けマージャンなどを通じ親しい仲となり「野球の試合で賭けをしないか」と誘われた。1度は断ったが、今年8月、軽い気持ちで夏の甲子園大会の賭けをすることにした。

 試合ごとにハンディをつけた一覧がメールで送られてきた。その中から試合を選び、1点1万円で勝敗と賭ける点数を伝える簡単なシステム。負けが続いてものめりこんでいった。A氏は「プロ野球で取り返せばいい」と持ちかけた。巨人戦3、4試合を含むプロ野球の約10試合、メジャーの約10試合も賭けの対象になった。「遊びだから、どんどんやっていいよ」と請求もないまま、負け額は百数十万円に膨らんでいった。

 9月に入り、子供が生まれることから賭けをやめようと思った。A氏からの連絡を無視した。すると同30日午前、川崎市のジャイアンツ球場に突然A氏が現れた。ガードマンが用件を尋ねると「福田に貸しているお金を返してもらいに来た」と言い、事態が明るみに出た。球団はただちに事情を聴き、携帯電話に残された記録などを確認した。弁護士などにも調査を委託し、野球協約が禁じる不正行為、賭博行為が行われた疑いが極めて強いと判断。熊崎コミッショナーに告発することを決めた。

 福田は今季の1軍登板がなく、八百長行為は認められていない。現時点では、A氏が暴力団関係者である認識はない。刑法の賭博罪に該当する疑いもあり、警察への届け出を検討している。コミッショナーによる調査をふまえ、解雇を含めた今後の処分を決定する。

 球界の盟主に所属する選手が、球界を揺るがすコンプライアンス違反を犯した。久保球団社長は「当球団の選手が、プロ野球の信頼を失墜させる行為をしたことに関して、深くおわびさせていただきます。また、クライマックスシリーズ、日本シリーズという大切な時期に、こういったお知らせをすることにつきましても、あわせましておわび申し上げます」と話した。10日からのCSファーストステージは辞退しない方針。調査の行方が注目される。

 ◆福田聡志(ふくだ・さとし)1983年(昭58)9月12日、大阪府生まれ。伊都高(和歌山)から東北福祉大を経て、05年ドラフト希望枠で巨人入団。12年に救援で8勝を挙げ、優勝に貢献。180センチ、84キロ。右投げ右打ち。今季推定年俸2400万円。

 ◆笠原将生(かさはら・しょうき)1991年(平3)1月9日生まれ。福岡県出身。福岡工大城東から08年ドラフト5位で巨人入団。13年に4勝を挙げた。父栄一さんは元ロッテ投手。弟大芽はソフトバンク投手。191センチ、95キロ。右投げ右打ち。今季推定年俸1900万円。