日本ハム大谷翔平投手(21)が「投手3冠」のプライドを見せる。今日10日の「2015 SMBC日興証券 クライマックスシリーズ パ」(CS)ファーストステージ第1戦(対ロッテ、札幌ドーム)に先発登板する。開幕投手も務めた3年目右腕は今季、勝利数、防御率、勝率と3部門でリーグトップ。確たる自信を胸に、大事な短期決戦の初戦マウンドに上がる。

 大量のペットボトルが入ったスーツケースを左肩からぶら下げ、練習直前の札幌ドームのグラウンドに姿を現した。投手陣最年少に課される“下っ端仕事”。決戦前日でも、大谷はいつも通りだった。「(公式戦と)特にかわりないです。自分の投球ができればいい。相手も気にしてないです。開幕戦のときの方が緊張しました」。駆けつけた大勢の報道陣の前で、平常心を貫いた。

 言動は、自信に裏打ちされている。今季はリーグトップの防御率2・24と安定感抜群。15勝を挙げて獲得した最多勝、勝率7割5分とともに、打者との二刀流を続けながら「投手3冠」を達成した。対ロッテも3試合を投げて防御率1・13と抑え込んでいる。栗山監督も「期待とかじゃない。勝ってくれると信じている」。絶対的な信頼を口にした。

 15勝目を挙げた9月27日オリックス戦。試合後の監督室で、指揮官から直接、CS初戦の登板を告げられた。「安堵(あんど)というか、反応はいい感じだった」と栗山監督。当初予定していたラスト登板は回避し、中12日と十分な間隔を空けて臨むことにした。「試合感覚はないですけど、CSに向けてしっかり調整できました」。9日もブルペンで約30球を投げ込み、最終準備を仕上げた。

 この日、来月に日本と台湾で行われる「プレミア12」の代表入りが発表された。「まだまだ成長の途中ですが、選んでもらって光栄です」。合流までに、1勝の重みが増す短期決戦で、さらに経験値を積み上げる。キャプテンも務める救援の宮西には「初回から全力で飛ばしていくので、よろしくお願いします」と伝えてある。プレーボールから目いっぱい腕を振るつもりだ。【本間翼】

 ▼昨年まで3試合制のプレーオフ、CSでは第1戦に勝利して王手をかけたチームは19チームのうち17チームが1Sを突破。突破確率は89%と高い。日本ハムは初戦に勝利した08、14年が突破で、初戦を落とした04、11年が敗退。初戦の成績が突破の可否に直結している。大谷は昨年も1S第1戦に先発。金子(オリックス)と投げ合い、6回3失点で初登板初勝利を飾った。