また兼任! 現役を引退し、監督専任になったばかりの中日谷繁元信監督(44)が当面、バッテリーコーチを“兼任”する。13日、達川チーフバッテリーコーチの退任が決定。球団では後任候補を探しているが、秋季練習中は捕手の指導者が不在になることから「ほかにいない」と監督自らが若手にムチを入れる。

 日も暮れかかったころ。ナゴヤ球場の室内から若手捕手たちのうめき声が聞こえていた。投手や他の野手のほとんどが練習を終えていたが“谷繁コーチ”が指揮する捕手陣のメニューだけは終わらない。ブルペン捕手やトレーニングコーチらの手も借りながら、ボールを使って下半身強化のメニューを課した。

 「おまえらは幸せだぞ! こんなにいろんな人に協力してもらって。俺が若いときは1人だったぞ」。ときにはジョークを入れ、会話を密にしながら松井雅、加藤、藤吉をしごきまくった。「疲れてきたときにこそ、いい形になるのがいいんだよ。しみ込ませるしかない。そこから覚えていくんだ」と指揮官は笑みを浮かべた。

 秋季練習では自ら選手に指導を施すシーンが目立つ。3日間で投手、野手すべての練習に目を通した。バッテリーコーチの“兼任”は達川コーチの後任が決まるまでの限定。今季は、ともに昨年まで未出場の杉山が64試合、桂が47試合と2人の若手が達川コーチの教えで台頭した。後継者づくりは今秋の重要課題の1つで、指揮官の指導にも熱が入りそうだ。【柏原誠】