竜の隠し玉は25歳のオールドルーキーだ。中日が22日のドラフト会議で、ホンダ・阿部寿樹内野手(明大)の指名を検討していることが18日、分かった。内野ならどこでも守れる185センチの大型選手で、ポスト・アライバの期待。年齢的に他球団は二の足を踏みそうだが、課題の遊撃補強へ、即戦力の1軍レベルと判断した。また、大商大・吉持亮汰内野手(21=広陵)も、遊撃補強の候補に入っていることが判明した。

 ドラフトまであと3日。中日の指名候補リストに、ドラフト対象選手としては珍しい25歳の名前があることが判明した。阿部は全方向に打球を飛ばせる右の巧打者。守備力も東京6大学時代から評判だった。二塁、三塁もこなす実戦派で、1年前の時点でも、中日は指名候補に入れていた。だが最終的に同じ社会人野球から1学年上で当時25歳だった遠藤を選択。阿部の指名を見送った経緯がある。

 来季の優勝争い参戦へ、中日のショート固定問題は残された課題の1つだ。今季、エルナンデスが97試合に先発。途中、新人の遠藤が守り、右肩の亜脱臼で離脱するまで39試合に先発した。シーズン終盤には二塁が本職の亀沢が、遊撃で先発するなど来季に向けて試行錯誤する場面もあった。

 谷繁監督も「遠藤が入っていた間は内野が落ち着いていた」と遊撃を内野の最重要ポジションとして再確認。来季もエルナンデス、遠藤の2人を軸に争われる見通しだが、隠し玉のドラフト補強で全体のレベルアップを図りたい考えだ。

 スカウト陣は大学球界屈指の内野手、吉持にも同様に熱い視線を注いでいる。50メートル5秒8の韋駄天(いだてん)。走力はアマ球界随一とされ、関西6大学リーグではすでに史上2人目となる60盗塁を記録した。

 中日は先発完投型投手の補強を最優先の補強ポイントに挙げていることから、どちらの場合も3位以下での指名になりそう。ただ、どちらも谷繁監督が目指す守備・走塁を重視した野球スタイルにも合致する選手。ともに「アライバ」の後継候補に期待できる逸材だ。5位からの巻き返しへ、ドラフト戦略も着々だ。

 ◆阿部寿樹(あべ・としき)1989年(平元)12月3日、岩手県生まれ。一関一では甲子園出場なし。明大では1年時から出場し、通算52安打。ホンダ入社4年目。昨年の都市対抗で9打数4安打と活躍。50メートル6秒2。185センチ、80キロ。右投げ右打ち。