巨人は20日、東京・大手町の球団事務所でスカウト会議を開き、22日に行われるドラフト会議の1位指名候補を7選手に絞った。以前から評価の高かった仙台大・熊原健人投手(4年=柴田)、大商大・岡田明丈投手(4年=大商大高)、青学大・吉田正尚外野手(4年=敦賀気比)らに加え、新たに立命大・桜井俊貴投手(4年=北須磨)が候補に入った。急浮上した本格右腕をリストに加え、本番まで調査を行う。

 ドラフト直前の会議を終えた山下スカウト部長が、1位候補の選手を挙げていった。即戦力の方針は決まるも、1人に絞り込むことはしなかった。ただ、真っ先に挙げた名前が「桜井」だった。年初から重ねてきた会議で、初めて最高ランクに飛び込んできた。

 同部長は「秋のリーグ戦が良かった。ボールのキレとコントロール。安定している」と説明した。14日の関大戦で、206球、1失点の完投。直球は最速150キロ、三振を13個奪った。投球フォームが非常に素直で、スタミナも十分にある。8球団、22人のスカウトが見守る前で即戦力の力を披露し、一気に評価を高めた。年初から一貫して評価の高い熊原、岡田も同じ右投げの本格派だが「それぞれタイプが違う」。桜井の総合力にひかれた。

 野手では、大学日本代表の4番を務める吉田が、最上位まで評価を上げてきた。他の1位候補では、投手は前記の3投手に加え、富士大・多和田真三郎(4年=中部商)と東海大相模・小笠原慎之介(3年)がいる。野手では明大・高山俊外野手(4年=日大三)がいる。

 合計で7選手となるが、積み重ねの評価には、多少の濃淡がある可能性が高い。「ここで決めるわけにはいかない。他球団を含めて、焦ることはない。しっかりシミュレーションして」と山下部長。慎重を期す理由として「今年はA評価がそろっている。いい選手が外れ(1位)でも残っている確率が高い」と話した。最高評価の選手たち、特に桜井をはじめとする大学生投手は、戦略次第で“一本釣り”が十分に狙える。新監督で臨む来季へのファーストステップ。本番直前まで動向を精査し、ベストの選択をする。

 ◆桜井俊貴(さくらい・としき)1993年(平5)10月21日、神戸市生まれ。多聞東小4年から野球を始める。多聞東中から北須磨高に進学し、2年秋からエース。甲子園出場経験はなし。立命大では1年秋から関西学生野球リーグ登板。3年秋にU21日本代表に選出。今秋リーグ戦で自己最速150キロをマークした。181センチ、82キロ。右投げ右打ち。