金本知憲新監督(47)を迎えた阪神が20日、来季組閣で現役時代に金本監督と主軸コンビを組んだOB今岡誠氏(41=日刊スポーツ評論家)の招へいに動くことが分かった。03年に首位打者、05年に打点王を獲得する活躍でリーグ優勝に貢献したスラッガーに、チーム再建のスタッフとして白羽の矢が立った。

 新監督を迎え入れた阪神が、猛虎が誇るスラッガーに白羽の矢を立てた。金本監督の就任発表から一夜明け。新体制つくりを進める球団が、生え抜きOBの今岡氏に打撃部門でのスタッフとして入閣を打診したことが明らかになった。

 チームのてこ入れを着々と進める金本監督は、スタッフ選任に関して「選手を育てる情熱、何が何でもこの選手を一人前にするというコーチ」と理想像を掲げていた。今岡氏はその条件にピタリと当てはまる人材といえる。

 星野監督が率いた03年は「1番」として首位打者を獲得。ファームで腐りかけた時期もあったが「燃える男・星野」に闘魂を注入されて反骨心をムキだしにする。85年日本一の1番打者・真弓明信をしのぐかのような、史上最強トップバッターのイメージで、18年ぶり優勝に貢献した。

 岡田監督だった05年には4番金本の後ろに控える「5番」として、“ミスタータイガース”藤村富美男が保持した球団記録を塗り替える147打点をマーク。独特のインコース打ちは「芸術的」ともいわれ、勝負強さは天下一品だった。

 今シーズンは9月上旬に首位から3位まで一気に転落。リーグ最低の465得点は、優勝したヤクルトに109得点の差をつけられた。新生タイガースにとって得点力アップは最大テーマになる。

 96年アトランタ五輪の舞台では井口(ロッテ)、福留(阪神)らと日の丸を背負った。同年ドラフト1位で阪神入り、2軍生活を強いられた時期もあったが、その後は看板選手に育っていく。またトライアウトまで受けて所属したロッテでは選手兼任2軍コーチを務めるなど、下積み生活の苦労も味わった。

 ユニホームを脱いだ後のこの3年間はネット裏で充電。その野球観は独特の切り口で、技術とともに精神面を指摘する厳しさは、「勝ちながら立て直す」と公言した金本イズムと共通した点がある。

 阪神からのオファーについては近日中に答えがだされる。強力Vコンビがタッグを組めば、必ず猛虎復活の足掛かりになる。

 ◆今岡誠(いまおか・まこと)1974年(昭49)9月11日生まれ、兵庫県出身。PL学園-東洋大から96年ドラフト1位で阪神に入団。10年にロッテへ移籍し11年まで実働15年で1309試合、打率2割7分9厘、122本塁打。12年はロッテで選手兼任2軍コーチを務め1軍出場なし。03年首位打者(3割4分)、05年打点王(147打点)。03年に二塁手でゴールデングラブ賞、02、03年に二塁手で、05年三塁手でベストナイン。現役引退後、13年から日刊スポーツ評論家。185センチ、83キロ、右投げ右打ち。