阪神金本知憲新監督(47)と11月から2軍監督に就任する掛布雅之DC(60)が30日、甲子園で行われた秋季練習でそろってユニホーム姿を初披露した。金本監督は現役だった12年以来、3年ぶりとなる背番号「6」、掛布氏は88年オフに引退から27年ぶりとなる背番号「31」を背負った。明日11月1日からの秋季キャンプを前に、豪華な競演となった。

 午前9時55分、甲子園。太陽に照らされた右翼の天然芝は、鮮やかな緑色だった。そこに2人の指揮官が並んで足を踏み入れると、タテジマのユニホームへ無数のフラッシュが向けられた。金本監督の背番号「6」に掛布新2軍監督の背番号「31」。すでに外野で体を動かしていた選手も、異様な空気を察知して視線を向けた。

 金本監督 久しぶりなんでね。新鮮といえば新鮮ですし、どうでしょう。昨日までのジャージー姿よりも気分は変わります。

 掛布新2軍監督 現役時代に戦ってきた甲子園ですから、心地よい緊張感を持ちながら甲子園の土を踏みました。

 背番号つきユニホームの懐かしさと新鮮さに、今度は指揮官としての夢が加わった。当初、掛布新2軍監督は就任要請を受けた際、「85」を希望した。最後の日本一となった85年を思い返し、空き番号となっていた背番号「31」の後継者を育てる意向だった。だが、球団の描いたストーリーは違った。「6番と31番をつける選手がいない。6番と31番を預けるから、お前たちがつけていいという選手ができた時に、譲ってやってくれ」。球団幹部の思いを金本監督と受け、代名詞を背負うことに決めた。掛布新2軍監督は「僕はこれが好きだから。一番楽だから」とストッキングを見せるクラシックスタイルで、今後の青写真を描いた。

 「金本監督は若い選手で長打力のある選手を育てたい気持ちが強い。僕もDCの時からそういう思いで、若い選手と一緒に野球をやってきた」

 明日11月1日。金本監督は高知・安芸キャンプで、掛布新2軍監督は鳴尾浜で熱血指導をスタートさせる。勝利にこだわりながらも、長い目線では自らの背番号を受け継ぐ若虎を育てる。阪神を支えた2人の4番打者はとっておきの戦闘服を身にまとい、いばらの道を突き進む。【松本航】