侍ジャパンの緊急事態をおかわり君が救う。8日に開幕する、初開催の国際大会「プレミア12」に出場する日本代表メンバーが2日、直前合宿を行う福岡に集合した。小久保裕紀監督(44)は打線の軸として西武中村剛也内野手(32)に期待を込める。ソフトバンク柳田悠岐外野手(27)の欠場が決まったが、国際大会初出場の長距離砲が侍打線の柱となる。

 戦いの直前に起こった不測の事態。内川に続き、3番に想定していた柳田の欠場が決まったが小久保監督は力強く断言した。「目標は1つ。みんなが気持ちを1つにして最後の最後に世界一になれるように結束していきたい」と表情を引き締めた。

 投手陣とともに勝利のカギを握る打線。「野手にもタイトルホルダーがずらっといる」と期待を込めた。その中核が中村剛だ。今季は歴代3位タイ6度目の本塁打王を獲得するなど、実績は群を抜く。かねて同監督は「おかわり(中村剛)が4番なら、中田はぐうの音も出ないくらい。高校(大阪桐蔭)の先輩ですし、あの人なら、というところもあると思う」と、4番を託す可能性を示唆してきた。長打を予感させる威圧感、状況に応じた打撃に切り替えられる適応力、ケガを表に出さない忍耐力。侍打線のど真ん中を任せるには、これ以上ない存在だ。

 ここまで4番に据えてきた中田への期待は、もちろん変わらない。就任以来「僕が率いている中での中心選手」と17年WBCまでの4番構想を明言してきた。中村剛の背中は、その男をさらなる高みに引き上げるためのメッセージにもなる。

 中村剛のメンタル力は侍ジャパン全体への刺激にもなる。この日も「今のところ普段と変わらない気持ち。これから高ぶってくると思う。(4番へのこだわりは)ないですね」とさらり。たとえ凡退しても動じないタフさが、国際舞台を勝ち抜く上で不可欠な「鈍感力」となる。小久保監督は、開幕韓国戦(8日)の打順について明言を避けたが、「4番・おかわり」が、初代王者への大きな推進力となる。【佐竹実】