おとこ気あふれるUターンだ。巨人は16日、西武からFA宣言した脇谷亮太内野手(34)と都内で初交渉を行い、移籍が決定的になった。球団は、西武での2年間で強打を磨いた内野手に着目。権利の行使を受けアタックをかけた。脇谷にとって、新任の高橋監督はプロ入りから慕う恩人。背番号「2」を含む条件提示は二の次。古巣復帰へ一気に心が傾いた。

 評価は単純にうれしい。でも、もっと大きな気持ちが決め手になってもいい。交渉中、堤GMの計らいで高橋監督に電話をつないでもらった。自主トレを毎年ともにし、野球談議に花を咲かせ、互いが故障で苦しんだ時期も励まし合ってきた間柄。飾らないやりとりに、きずながにじみ出ていた。

 脇谷 ボクの中で(移籍が)決まれば、死に物狂いで頑張ります。

 高橋監督 当たり前だよ!

 脇谷 こういう話を頂けた。ありがたいです。

 高橋監督 しっかり自分で決めて。

 猛者ぞろいの西武でもまれ、屈指の万能型に成熟した。「2年前、ああいう形(西武からFA移籍した片岡の人的補償)で移籍して。それでも声を掛けてくれて。熱意を感じる」と感謝し、監督への思いにつなげた。「1年目からお世話になった方。もし入団するなら、監督を胴上げするくらいの気持ちで、死に物狂いで」と繰り返した。

 気持ちのいい九州男児。「僕は西武からFAした選手」と、ライオンズが移動時に着用するスーツ、ネクタイで交渉に臨んだ。人がつなぐFA。脇谷らしく前に進む。【宮下敬至】