今季8年ぶりに復帰した広島で主軸として活躍した新井貴浩内野手(38)が16日、契約更改交渉に臨み、今季2000万円から3倍増となる年俸6000万円でサインした。活躍の場を求めて阪神を自由契約となり古巣に復帰。主に4番としてチームを引っ張った。来季は愛着のある背番号25に戻ることも決定。通算2000安打とチームの優勝を目指して戦う。

 9年ぶりに広島での「契約更改」を終え、赤いネクタイを巻いた新井は満面の笑みだった。3倍増で更改した年俸だけではない。8年ぶりの古巣で戦った姿を球団に高く評価してもらえたことがうれしかった。

 「想像できないことが起きた1年で、感動をたくさんいただいた1年でした」

 1年前、阪神からの自由契約を選び、大幅ダウンを受け入れて広島に帰ってきた。春季キャンプから泥にまみれた。開幕前には右肘を痛め、シーズン中には左手甲を痛めた。満身創痍(そうい)ながら得点圏打率3割1分1厘の勝負強さで打線をけん引。鈴木本部長から「お前がいなかったらと思うとゾッとする」と言われるほどの貢献度だった。

 通算2000安打まで残り29本で迎える来季は、背番号が28から25に変わる。99年の入団から阪神時代を含め16年間背負った愛着のある番号だ。今季3年目の高橋が付けていることもあり1度は断ったが、球団の「記録を長年背負った背番号で達成してもらいたい」という思いを受け止めた。

 8日には黒田が現役続行を表明した。新井は「黒田さんが200勝を達成して、僕も2000本打って、そして優勝できたら最高です」と来季の共闘を確かめた。来年オフは今年以上に笑うため、すでに連日、体が張るほどハードなトレーニングを続ける。「とにかく自分が1年間必死になってやる。そういう姿を見て何かを感じてもらえれば。その中でしっかり結果も残していきたい」。来季25年ぶり優勝を目指すチームに、どん底からはい上がってきた男の存在は欠かせない。【前原淳】