成功へ残る要素は「心」だ。日本ハム栗山英樹監督(54)が16日、毎年恒例の仁木町の仁木神社を参拝した。来季で4年目となる大谷翔平投手(21)が、さらなる飛躍を遂げるカギに漢字1文字で「魂」と設定。プロでの「二刀流」の区切りの3年を終え「技体」は一定の進化を果たしたと判断。「最後は魂の部分になる」と、クリアすべきハードルを与えた。

 厳かな空気に触れた。栗山監督が心身を研ぎ澄まし、五感を磨いた。フルーツで有名な仁木町の中心部から少し離れた、仁木神社。神楽の舞を堪能し、街の人たちの温かさにも触れた。「こういう時間を過ごすのは幸せなことだよね。神様っていい。野球も『野球の神様』って、言うからね」。今年も残り約2週間。あと2カ月足らずで、春季キャンプもスタートする。「どんな野球をやらなければ、いけないか。少しずつ前に進み始めている」。

 思考が切り替わり、その戦いの中心になる大谷の宿題を明かした。着実にステップアップし、3年目の今季は投手3冠を獲得。エースの座を、完全に確立した。肉体面、技術面の進化は著しい。他の追随を許さない大投手へと進む過程で、残る必要不可欠な要素を見ていた。「最後は、魂の部分になるよね。3年たって数字の部分とか、技術とかは、まあ(及第点)だから」と指摘した。

 大一番で「心」のもろさを見せ、強さも見せたのが今季だった。CSは開幕投手を任されたが敗れ、ファーストステージ敗退の引き金になった。対照的なシーンがあった。侍ジャパンの一員として11月のプレミア12に臨み、韓国相手に2戦計13回無失点で、2戦連続2ケタ三振。心身が乗り、圧倒的パフォーマンスを披露した。栗山監督が、来季求めるのは「魂」を安定して宿すこと。抽象的な課題だが、大谷が4年目以降に前人未到のステージへ向かうための試練になる。【高山通史】

 ◆仁木神社 1879年(明12)に旧徳島藩の家臣が117戸の開拓移民を率いて仁木町に移住した際、郷土の守護神であった八幡社、祇園社、地神社を地域ごとに鎮斎したのが始まり。1903年に鎮祭していた諸神を合祀して鎮守神とし、社号を仁木神社と改めた。34年現社殿を造営、88年現社務所が建築され、03年御鎮座百年式年大祭が行われた。所在地は余市郡仁木町南町2丁目14番地。