巨人の「鬼」がリスタートを切った。沢村拓一投手(27)が20日、川崎市のジャイアンツ球場の室内練習場でキャッチボールを再開させた。侍ジャパンの一員として参加した11月のプレミア12以来、約1カ月ぶりの投球。ゆったりしたフォームで、約40メートルまで距離を延ばした。「プレミアが終わって逆算すると2カ月後がキャンプ。やることはいっぱいありますね」と引き締めた。

 守護神1年目は60試合で7勝3敗36セーブ、防御率は1・32。申し分ない数字が並ぶが「(課題は)全部。下手は下手なりに練習しないと伸びないです」と鬼評価を下した。だからこそオフに入っても手綱を緩めない。「社会人として(野球を)第1優先でやっていかないと。トレーニング以外は外に出たくないです」と休養より鍛錬を選んだ。

 ほぼ無休でトレーニングに励んできた。筋力を増やし、体重103キロと体のスケールアップに成功した。「これから投げたり走ったりすると減ってくる」と土台を築いたうえで、肉体に磨きを掛けていく公算だ。

 来年1月には、中大の後輩・日本ハム鍵谷とハワイで自主トレを行う。「いじめ抜きますよ」という鬼宣言は、鍵谷ではなく、自分自身に向けている。妥協なんてない。「練習はうそをつかないと言いますけど、頭を使わない練習はうそをつく。何のためにやるのか。人より長く野球をしたので投げ始めは遅いですけど、キャンプにはけがなく入りたい」。究極の仕上げをする-。鬼の決意だった。【浜本卓也】