ソフトバンクから海外FA権を行使し、メジャー移籍を視野に入れていた松田宣浩内野手(32)が残留の意思を固めたことが23日、分かった。今日24日に発表される。パドレスからオファーを受けるなど海外に気持ちは傾いたが、最終的に「ホークス愛」が上回った。また、今季まで同僚だった松中信彦内野手(41)の背番号「3」への変更を希望していることも判明した。

 悩みに悩んで、野球人生最大の決断を下した。松田がソフトバンク残留を決めた。自身が定めたリミットは年内。王会長、工藤監督、チームメートの残留を願う声が痛いほど伝わっていた。そして福岡には家族がいる。夫人はメジャー移籍に理解を示してくれたが、長女は1歳になったばかり。総合的に判断し、決意した。“夢”に後ろ髪を引かれながら、最後は「ソフトバンク愛」を貫いた。

 ソフトバンクからは4年推定16億円の大型提示を受けた。一方でメジャー複数球団が松田の調査に乗り出し、パドレスはプレラーGMが福岡まで出向いて会談。パ軍のオファーはメジャー契約ながら1年契約で推定約1億円とみられる。それでも松田に海外挑戦の思いは膨らんでいた。親しい関係者には「お金を抜きにしたら、アメリカでプレーしたい思いが強くなってきた」と漏らしていた。

 ソフトバンクという最高の環境を再認識した松田の脳裏には、新たなプランが浮かんでいるようだ。入団から10年間つけ、代名詞とも言える背番号「5」を「3」に変えたい希望があることが判明した。球団に近々要望を伝えるつもりという。松田の中で三塁手といえば「ミスター」こと元巨人の長嶋茂雄氏。そしてソフトバンクでは、松田がかねて尊敬する元3冠王の松中が背負ってきた。

 球団が福岡に移転後、現会長の王監督が長年かけて築いた常勝軍団の中心が松中だった。その伝統を背番号とともに継承することで、松田はプロ野球人生の第2章に向けたモチベーションにしたいと考えているようだ。11月の国際大会プレミア12でも、背番号3を自ら選んで三塁を守っていた。

 松田の残留は、ファンには最高のクリスマスプレゼントと言えそうだ。次回のFA権取得は早くても4年後。年齢的に考えると、今回の決断で「生涯ホークス」となる可能性が高い。円熟期を迎えた「熱男」が、来年は球団初の3年連続日本一にチャレンジする。