ヤクルトが今秋ドラフトの目玉、最速156キロ右腕の創価大・田中正義投手(3年=創価)をスカウト2人体制で徹底マークすることが8日、分かった。登板試合をくまなくチェックすることが可能になるだけでなく、故障の有無や他球団の動向まで田中に関する情報を網羅する狙いがある。鳥原公二チーフスカウト(61)は「2人で見ていくというのは、初めてのことになる。情報を多く集めたい」と、12球団が1位競合する可能性のある逸材を徹底的に追うつもりだ。

 従来は各選手に対して、エリア担当である1人のスカウトがチェックする形だった。ドラフト会議直前であれば、対象の選手に対して複数の担当者が状態を見極めることはあるが、同スカウトは「彼は怪物。ヤクルトの先発ローテの一角を狙える能力も持っている。(元巨人の)江川みたいに入団してすぐに活躍できる」と高く評価。半年以上も先のドラフトではあるが、今から厳戒態勢を敷く。

 田中への熱意は、行動にも表れた。この日、ヤクルトのスカウト3人が、東京・八王子市内の創価大・野球部を訪問。岸雅司監督(60)へ新年のあいさつに訪れた。始動前日のため、田中の姿は見られなかったが、同スカウトは「始動の日だと他の球団も来る。前日だったら一番にあいさつが出来る」と作戦通りだった。

 他の1位候補としては、日大の新主将、京田陽太内野手(3年=青森山田)が、リストアップされている。今季のチーム状況を見ながら、指名する選手を最終的に判断する。その中でも田中に対しては、熱視線を送り続ける。