石仏魂、継承だ! 今季プロ18年目を迎える阪神福原忍投手(39)が13日、甲子園球場で自主トレーニングを公開した。今年12月に40歳を迎える福原だが、まだまだ元気いっぱい。史上5人目となる40歳シーズン以降でのタイトル獲得へ、米大リーグ・カージナルス入りした元同僚・呉昇桓投手(33)のタフネスぶりを継承する構えだ。

 冬の陽光が差す甲子園でキャッチボール、ランニングで体を動かした福原は元気いっぱいだ。「40歳になるからといって特に何も変わっていませんね。食事の量とかも同じ。トレーニング自体はいつやってもしんどいですけどね」。笑顔で話した。

 そんな福原が“秘話”を明かしたのは2年間阪神に在籍し、カージナルス入りが決まったばかりの呉昇桓投手(33)についてだった。賭博を巡る問題が取り沙汰されていた昨年末に、呉昇桓とともに2年間在籍していた通訳を通じ、連絡を取ったという。

 「心配というか『大丈夫なのか』とかいう程度ですけどね。阪神にいてくれればよかったけど、メジャーで頑張ってほしい。そのうち(米国に)招待してもらおうかな」。元同僚の転身を歓迎した。

 呉昇桓については特別な思いがある。韓国のセーブ記録を持って14年に阪神入りした呉昇桓だったが、気取ったところはまったくなく、福原らに積極的に質問してきたという。

 「あれほどの存在でも少しでも野球がうまくなりたいという気持ちが伝わってきましたね。タフさというか動じない精神的な強さもすごかった」。韓国では「石仏」とも称されたタフぶりに福原自身、感じるところがあったようだ。

 カ軍のチーム事情でセットアッパーを務める方向の呉昇桓に対し、福原も負けてはいない。昨季まで2年連続で最優秀中継ぎ投手に輝き、今季達成すれば3年連続の偉業に加えて、大きな意味がある。40歳シーズン以降でタイトルホルダーになったのは過去4人だけ。阪神ひと筋の右腕が仲間入りすれば新たなレジェンドの誕生となる。

 おまけに今季は新加入のマルコス・マテオ投手(31)の状態次第では抑えの仕事を要求される可能性すらある。だが福原はこれにも動じていない。

 「言われたところでしっかり投げられるようにしたい。先発以外はね(笑い)。1試合1試合、投げていって結果としていいものが出れば」。金本監督に投手キャプテンに指名されたベテランは、じっくりとシーズンを見据えている。【編集委員・高原寿夫】

 ◆タイトルホルダー年長記録 プロ野球最年長は、97年に42歳の大野豊(広島)が獲得した最優秀防御率(2・85)。42歳での規定投球回到達もプロ野球最年長。なお阪神で、44年に36歳の若林忠志が最優秀防御率(1・56)、05年に37歳の下柳剛が最多勝(15勝)を獲った例がある。ちなみに、97年大野は23試合登板すべてが先発。89年村田兆治(ロッテ)も22試合すべてが先発で、40歳シーズン以上で救援部門タイトルを獲得した選手はいない。

<福原が今季達成可能な年長記録>

 ◆セーブ 自身が持つ球団最年長記録「38歳4カ月」を更新(15年5月23日DeNA戦)。

 ◆HP(ホールドポイント) 自身が持つ球団最年長記録「38歳9カ月」を更新(15年10月2日ヤクルト戦)。

 ◆2桁HP 満40歳以上シーズンでは球団初。到達すれば14年に44歳の斎藤隆(楽天)が10HP挙げて以来、プロ野球6人目。

 ◆最優秀中継ぎ投手 自身が持つプロ最年長39歳シーズンを更新。また、3年連続ならプロ野球初。

 ◆50試合登板 満40歳以上シーズンではプロ野球初。なお、福原は昨年まで5年連続で50試合登板。今季も継続し6年連続となれば球団最長(5年連続はほかに小山正明56~60年、伊藤敦規97~01年)。