谷繁スタイルで正捕手奪取だ。DeNAのドラフト4位、戸柱恭孝捕手(25=NTT西日本)は、中日谷繁監督型のミットを動かさない構えが最大の武器。昨年はチームの暴投数68がプロ野球ワーストタイという不名誉な記録を残したが「後ろにそらしたら捕手の責任」という信念で、暴投を一掃し投手の信頼を勝ち取る。

 通常は構えた位置からミットを下げたり、動かしながらタイミングを取る選手が多い。不動でタイミングを取るのは難しい上に体力的にもハードだ。しかし投手は的が動かないから投げやすい。戸柱は昨年1月から5カ月をかけ習得した。マウンドの半分の至近距離から、マシンで矢継ぎ早に飛んでくる速球を1日300球捕球するのをノルマに課した。ミットが下がれば体にボールが直撃する。

 自信も不動だ。「去年は周りから、1年ですごくうまくなったと言ってもらえるようになった」という。NTT西日本の大原コーチから「ボクシングの構えの位置が理想」と教えられ実行している。

 見守った八馬スカウトもうなずいていた。「動かないですよね。投手に的を作ってあげているので投げやすい」と説明した。即戦力の目標はもちろん、正妻取りだ。【矢後洋一】