阪神ドラフト2位の坂本誠志郎捕手(22=明大)が「男前魂継承」を誓った。新人合同自主トレがオフの16日、休日返上で6選手全員でトレーニング。昨年限りで引退してフロント入りした藤井彰人氏(39)が練習を手伝ってくれたことに感激し、「そんな捕手になりたい」と決意を新たにした。藤井氏から愛される捕手の極意を学び、正妻に上り詰める意気込みだ。

 坂本は藤井氏の言葉に目を輝かせた。「練習は慣れたか? 打つなら投げてやるぞ」。新人合同自主トレは休日だったが、鳴尾浜でオフ返上で他の5選手と体を動かしていると、日頃手伝いに来ている藤井氏も休み返上で顔を出していた。「みんなヤル気いっぱいやね」と感心した藤井氏が買って出たのは打撃投手。6位板山と室内で交互に約40分間、感激いっぱいに打ち返した。

 坂本 ティーだけでなくフリーも投げていただいて本当にありがたかった。休みの日に出てきてくれて、そういう気持ちにも男前を感じます。僕もそう思ってもらえる捕手になりたい。

 一時代を築いた先輩の看板「男前」の継承宣言が飛び出した。藤井氏は現役時代、「顔しか取りえがないですけど」とお立ち台で笑わせたが、坂本がホレ込んだのは野球人としての男前ぶりだ。誰もいないかもしれない休日にわざわざ大阪の自宅から来て、何か手伝おうという姿勢…。その縁の下の力持ち的精神は、自分を殺して投手の良さを引き出す理想の捕手像にもつながる。

 坂本 藤井さんは体は僕と同じで大きくないのにどっしりしている。(体を張って)ショートバウンドを止めるのもうまい。投手を不安にさせない。僕もそういう部分を見習わないと。

 藤井氏 低めに放るのがイヤだと思われたら最悪だし、止める姿を見せないと信頼関係はできない。イラチな人には投球リズムに合わせてあげる。ゴマをするんじゃなく、捕手から寄って球場以外でも食事や風呂で会話して溶け込む。投手に愛されてほしいですね。

 男前が凝縮された金言を授かった坂本も心は新た。最後に「今は誠志郎と呼ばれていますが、ニックネームをつけてもらえる選手になりたい」と夢を語ると、藤井氏が笑顔で即答した。

 藤井氏 (僕みたいに)ヒーローインタビューで(面白いことを)言うことですよ(笑い)。早くお立ち台に立ってほしいですね。

 金本阪神での愛称は「2代目男前」? それとも「男前誠志郎」? 坂本がヒーローになった時は、藤井氏譲りの一世一代コメントにご注目を。【松井清員】