静かに大台到達を果たした。DeNA筒香嘉智外野手(24)が19日、契約交渉に臨み、5400万円増の年俸1億円でサイン(金額は推定)。7年目での大台は球団の高卒野手では最速記録。不動の4番打者としてチームをけん引した主将は「まだまだ実力が足りない。100打点もいっていないし(昨季良かったのは)3割きっちり打てたことぐらい」と淡々と話した。

 未熟さを認識するからこそ、野球漬けのオフを過ごしてきた。昨年11月に侍ジャパンのメンバーとしてプレミア12を戦い、その後はドミニカ共和国でのウインターリーグに参戦。12月23日に帰国し「休んだのはそこから3日間ぐらいです」と、常にバットを握り続けてきた。主力選手としては異例の海外武者修行だったが、「ベンチでも野球の話ばかりしていた。どの選手も野球が大好きで楽しんでいる。縮こまらないで思い切りプレーしていた」と目の前の1コマ1コマが収穫だった。

 年末年始もトレーニングを継続した。「シーズンが始まれば周囲の目も増えるし、バタバタしてくる。今は静かなところで自分のスイングの音を聞きながら、振る時間を大事にしている」と神経を研ぎ澄まし、感覚を体に染みこませている。会見終了後は、カメラマンから小道具を使った撮影を依頼されたが「普通でいいです」と制した。打撃では「静かに待って強く振る」がテーマ。今は静かでいい。開幕から沈黙を破り、一気に大暴れする。【為田聡史】