背番号31が精力的に動き回った。阪神の2軍キャンプが高知・安芸でスタート。小雨降る中、掛布雅之2軍監督(60)は、ドラフト1位高山俊外野手(22=明大)を早くもマンツーマン指導。右手骨折の影響で別メニュースタートとなったドラ1に対し、掛布2軍監督は20年先の野球人生を見据えた助言を送った。

 2016年2月1日、午前10時30分42秒。後に伝説と語り継がれるであろう壮大な計画の針が動きだした。掛布2軍監督による、高山20年現役計画-。安芸ドーム内でティー打撃を行っていたルーキーに、ミスタータイガースの初指導が行われた。

 掛布2軍監督 彼の10年、20年。40くらいまでの野球人生を考えると、今はこれでも対応できると思うんですよ。でも、今けがをして2軍でのキャンプに参加していることをプラスにするために、そういう時間だと思ってやったほうが良いと思う。今の時間を彼の長い野球人生のうちのいい時間にしてあげたい。

 掛布2軍監督が具体的に高山に指導した点は4つだ。(1)目線を変えずに振れ(2)右膝を内側に向けろ(3)右足に壁を作れ(4)打席では狭いスタンスを取れ

 ティー打撃の直後に行ったマシン打撃では、特に狭いスタンスでの打撃フォームに関して徹底指導。1足分狭めて取り組んだ高山は「狭いときのほうが振れているからと言っていただいた。短い時間でしたけどいい感覚がつかめたと思う」と進化を実感。全体練習後の室内ロングティーでもライナー性のするどい打球を飛ばした。

 掛布2軍監督 (スタンスが)広くても若いうちは大丈夫なんだよ。でも年を取ってくると難しい。まだ広くても対応できると思うんだけど、今その形を覚えておけば年取っていっても楽。土台になる部分を作っておけば、年々(フォームが)変わっていってもバッティングに対する変化じゃなくて、進化すると思う。

 高山の打撃に課題があるわけではない。むしろ、球界を代表する選手になれると感じたからこその指導だった。かつて巨人長嶋監督が、ゴジラ松井を不動の4番に育て上げるために1000日計画で指導した。掛布2軍監督の熱意から、高山の成功物語が、ここ安芸から始まった。【梶本長之】