上々の滑り出しだ。広島ドラフト1位岡田明丈投手(22=大商大)が7日、フリー打撃で打撃投手を務めた。初めてプロの打者と対峙(たいじ)。バランスを重視した投球で最速は143キロを計測した。回転のいい切れのある球に、首脳陣は評価を高め、他球団007は警戒心を強めた。

 岡田の剛球がうなった。先輩打者が打席に立ち、スタンドには1000人を超えるファンが集まった。マウンド後方には緒方監督と畝投手コーチがいる。アピールしたい新人右腕にとっては緊張する場で力が入る。それでも「バランスを意識して投げた」と、今やるべきことに集中。地に足をつけてマウンドに立った。

 「悪くなかった。とりあえずバランスを意識してフォームを固めたい。今日は寒かったので、これからだと思います」

 田中と天谷と相対した。ブルペンで投げ始めたばかりの変化球はまだ調整段階で、全体の42球中20球がボールとなった。ただ、真っすぐには力がある。最速143キロ。この日フリー打撃に登板した新人2選手と福井、大瀬良、中崎の中で最も速い。巨人吉原スコアラーは「ゆったりしたフォームからいい球を投げている。ベースのところで伸びている。コントロールで崩れるタイプではなさそうだから(先発、中継ぎ)どこでもできるんじゃないか」と評価。2選手に22スイング中、安打性の当たり4本に抑えた

 首脳陣の評価も高い。畝投手コーチが「テークバックが小さくてリリースが速い。いいものが見えた」と言えば、緒方監督は「自分の球を投げられていた。(山本)浩二さんがおもしろいと言っていたけど、横で見ていてもそう感じた」と目を丸くした。ミスター赤ヘルも絶賛。周囲の高い評価に、鞘師担当スカウトは「普通」と言い切る。さらに「力を入れていけば球速はもっと上がってくる」と続ける。評価とともに期待も高まる。

 ポジションは、先発か中継ぎか-。緒方監督は「まだどう使うか決めかねている」と悩む。岡田の力を認めた上で、チーム内のバランスを見ながら役割を決めていく。それだけの可能性と期待を感じさせる登板だった。【前原淳】