ナチュラルカットボールで、開幕ロードもショートカットだ。5年目で初の開幕投手を目指すソフトバンク武田翔太投手(22)が18日、今季初の対外試合となった韓国・ロッテ戦に先発し、3回2安打無失点と好投した。最速は144キロ。動く真っすぐ中心の組み立てで、直球に強い韓国の打線を封じた。

 打者の反応が、武田の直球の順調な仕上がりを物語っていた。快調なゼロ発進。3回で57球を要したが、変化球はカーブとスライダーをわずかに投げただけ。変化球を封印し、今キャンプで投げ続けてきた直球でアウトを積み重ねた。

 「まあ順調です。力は6割くらい。これくらい出ていれば十分。あとはキレ。去年より全然ましです」

 初回は2死満塁のピンチで6番打者を二直。2回も2死三塁から1番打者を空振り三振に仕留めた。3回には2死一塁から左打ちの5番打者に2球続けて外角直球でストライクを奪い、最後は一ゴロ。ピンチにも動じず、涼しげにマウンドを降りた。

 武田の直球はカットボールのようにボール1個から1個半分動くのが特徴。相手の打者たちは捕手斐紹に「カットボールか?」と聞いてきたという。武田は「直球狙いの相手にどれだけ通用するのか、ボールの質を確認したかった。持ち味が出ていたのでよかった」と、うなずいた。

 佐藤投手コーチも「本人がそう言っているのなら、いいんじゃないか。去年のキャンプと比べたら出来は早い」と、順調な仕上がりを認めた。昨季チーム勝ち頭の13勝を挙げ、今季の開幕投手も大本命。工藤監督もこれまで、武田とバンデンハークが有力と名前を挙げてきた。初実戦を終えて「まだ伝えていない。コーチの意見も聞いて総合的に判断したい。もう少し遅くなっても調整は問題ない」と大役の指名は先送りしたが、納得のいく直球が投げられたことは武田にとって大きな収穫だ。球筋は打者の手元で横滑りしても、開幕への道はどこまでもストレートだ。【福岡吉央】