ソフトバンク和田が西武との「前哨戦」で、あえて新球を披露した。1回先頭の秋山に対し、メジャーで習得したツーシームを投じた。内角を厳しく突き、一ゴロに抑えた。手の内を隠すという選択肢は取らなかった。

 「反応を見たいから。後手に回るよりも先手に行ったほうがいい。こっちは攻めなので。向こうも、これで考えてくれたら」。相手の記憶に刻み、本番での心理戦に誘導する。ベテラン左腕らしい投球だった。

 実戦初登板の21日紅白戦に続き、またテンポのいい投球が光った。球数が少なかったため、当初の予定から1イニング延長し、3回を1安打無失点。「状態は上がり下がりがある。1カ月後には分からない。やるべきことをやる」。古巣での復帰マウンドは3月29日の西武戦(ヤフオクドーム)に決定。もう1つの新球であるカットボールは使わなかった。クレバーな男が西武打線を封じる布石を打った。