不安視されていた事態が8日、現実となった。昨年発覚した福田聡志、笠原将生、松本竜也の3投手の野球賭博関与は当該選手の無期失格処分と、球団への制裁金1000万円の処分で一度は決着した。しかし、本当に他の選手の関与はなかったのかとの疑念は根強くあり、問題は拡大した。

 巨人の調査にはもともと限界があった。球団の調査では否定していた笠原、松本竜の両投手の関与が判明したのは日本野球機構(NPB)の調査委員会が調査に乗り出してからだった。今回も週刊文春の取材が発端と外部の調査によって事実が暴かれた格好だ。

 球団は野球賭博問題が発覚する前年、笠原投手が一般客の入れないカジノに連れて行かれて、トラブルになっていた事実を内々に処理しており、対応の甘さが指摘されていた。さらに球場のロッカールームなどで一部選手がカードゲームに興じるなど日常的に賭け事が行われていたことも明らかになり、拡大が心配されていた。

 プロ野球界には、西鉄(現西武)投手の八百長が発覚したのに端を発した「黒い霧事件」の苦い記憶がある。当時は当該投手のその後の供述から暴力団との交際が次々と明るみに出て6選手が永久失格処分を受けた。悪夢の再現となれば、人気が回復していたプロ野球の信用失墜とファン離れは避けられない。

 球界は2月のキャンプで講習会を開き、選手会も各球団を回ってミーティングし、賭け事の違法性の線引きを説明していたが、実効性が疑問視されていた。