「This is RAMI style」だ!! DeNAアレックス・ラミレス監督(41)が若武者たちを巧みに操り、3点差をひっくり返す逆転勝利。宿敵巨人の高橋監督に初黒星をつけた。5回に5連打と2死球で逆転に成功すると、7回には敵の意表を突く、頭脳的采配でダメ押しだ。連夜の満員御礼となった本拠地初勝利で連敗を3で止めた。

 ベンチのラミレス監督は、審判団に詰め寄る巨人高橋監督をじっと見つめた。1点リードの7回1死二、三塁。倉本の二ゴロ野選で三塁走者のロペスが忍者のような技ありのスライディングで生還した。微妙なタイミングに敵将がビデオ判定を要求。その直後に、巨人は投手を今村から土田にスイッチ。球場に張り詰めた糸が、一瞬緩む。そんなスキを逃さなかった。

 ラミレス監督 高橋監督が投手交代を球審に告げたときにはサインを出していた。

 直立不動のまま、速やかに「重盗」のサインをグラウンドに伝えた。そして再開と同時に、勝負が決まった。7回1死一、三塁。打者宮崎の初球だった。一塁走者の倉本を走らせ、捕手が遊撃手へ送球した瞬間に、三塁走者の筒香をホームへ突入させた。ダメ押しの6点目をもぎ取った。巧妙な判断に、「あの状況で向こうのベンチは予期していなかったと思う。走っても点を取りたいし、積極的に走りたいと考えていた中で、正しいタイミングで遂行できた」と納得の表情で振り返った。

 多くのベンチワークが実った試合だ。3点を追う5回は的確なアドバイスで打線をよみがえらせた。「試合中に小川コーチに再度、選手たちに指示を伝えてもらった」と、早いカウントからの積極的なスイングを厳命した。この回の5連打のうち筒香を除く、モスコーソ、荒波、ロペスは初球。白崎の二塁打もファーストストライクの3球目だった。満塁からロマック、宮崎の2死球で逆転し「気持ちで勝ちをもぎ取らないといけないときがある。あそこで流れを完全につかんだ」とうなずいた。

 ベンチが動き、選手が動き、試合を能動的に動かした。指揮官は「今日は必要なことだったので多くのベンチワークをした。これがマイスタイル。こういう野球をみなさんにお見せしていきたい」とはっきりと宣言した。日本野球を知り尽くし、駆け引きを得意とする知将の真骨頂を、開幕5戦目で示した。【為田聡史】