広島鈴木誠也外野手(21)が今日5日、1軍に合流する。春季キャンプ中に右太もも裏を痛めて離脱。大きく出遅れ、3月25日に2軍で実戦復帰した。当初は来週以降の合流が見込まれていたが、停滞感が続くチームの起爆剤に指名された。鈴木にとっては願ってもないチャンス。待ちに待った1軍の舞台で暴れまくる準備はできている。

 鈴木は驚きのあまり湯船から飛び出した。前日3日18時。待ちに待った1軍昇格の吉報が届いたのは浴室だった。喜びだけでなく、時間の経過とともに責任感も押し寄せる。この日、マツダスタジアムを訪れた鈴木は、自身の開幕に、気持ちを高ぶらせた。

 「正直びっくりした、チームに必要とされていると感じた。2軍では結果が出ていないですけど、1軍では何とか結果を残したい」

 右太もも裏痛から実戦復帰した3月25日は1軍開幕日。試合は1度も見ていない。「今年はチャンスだと思ってキャンプからやってきた。もったいないし、悔しい」。そこに自分がいない悔しさをぶつけるようにバットを振った。ウエスタン・リーグでは5試合で14打数2安打、打率1割4分3厘。それでも3月29日巨人3軍との練習試合では、調整中の13年最多セーブ西村から左中間へ復帰1号を放った。その日から練習試合を含めて4試合連続安打。実戦勘を取り戻しつつある。

 2日のウエスタン・リーグ中日戦では復帰後初盗塁を決めた。守備でも「1歩目から反応できている」。球界屈指の強肩も健在。まだ21歳の若武者は「打撃もそうですが、すべてにおいて求められていると思う。チームに刺激を与えられれば」と胸を張る。

 広島は9試合で4勝5敗。乗り切れていない。4勝中3勝が3点差以内で、5敗中4敗が2点差以内。中継ぎ陣の失点が目立つ一方で、勝負を決める得点を奪えていないのも事実だ。3日巨人戦は5番エルドレッドが2度得点機で凡退。好調な打線も、つながりを欠く攻撃も見られる。緒方監督が指摘した「修正ポイント」が打順の組み替えならば、鈴木の存在は自然とクローズアップされる。来週以降とみられていた昇格が前倒し。指揮官が野手のキーマンに挙げた若武者が、チームに漂う停滞感を打ち破る。【前原淳】