阪神金本監督はいつになく厳しい表情だった。そして藤浪の話題をさえぎるように言った。「相変わらず打てないね」。ジョーダンから奪ったのは相手暴投と原口の犠飛の2点だけ。敗因を求めたのは7回4失点の藤浪ではなく攻撃陣だった。

 前回対戦で7回を0封された左腕相手に策は講じた。打撃好調の大和を2年ぶりに1番に据え、同じく好調の北條はプロ初の2番。代打の神様狩野は6番左翼で今季初めてスタメン起用するなど、鳥谷と福留以外の7人を右打者で固めた。

 だが「真っすぐはスピードガンより来ていたし、右打者はチェンジアップが嫌だったのかな」という監督の分析通り、クロス気味に食い込む投球にてこずった。結果的に中日を上回る8安打を放ち、6四死球ももらいながらあと1本が出ず。毎回の12残塁に、左翼虎党席はため息であふれた。

 「先発から3点取ってないからね」。1日のDeNA戦で今季最大の5点差を逆転勝ちし、勢いがついたかに見えた。だが監督の指摘を借りれば、その試合も山口ではなく終盤に中継ぎ陣を崩したもの。先発の好投手を打てていない状況が続いている。監督は奮起を促すようにカツを入れた。

 「今日は2番に北條を入れたりしたけど、誰かがきっかけを作っていかないと。こういう時は『俺が、俺が』で行ってほしい。俺が突破口を開くんだ、俺がつないでいくんだとね。得点圏にはいくけど、そこでの勝負根性が打者の価値だから」

 ナゴヤドームの開幕4連敗は10年以来6年ぶり。鬼門復活の空気も漂う中、再び貯金も0になった。「1つ勝てばダダーンと行くんだろうけど」。出てこい、たくましい孝行息子よ。今日こそ今季初先発の横山を援護したい。【松井清員】