楽天が3-2で日本ハムに競り勝ち、連敗を9で止めた。1点リードの9回には松井裕樹投手(20)がマウンドに上がり、5月4日のロッテ戦以来となる今季8セーブ目をマーク。救援失敗が続き、防御率6点台と苦しむ守護神が、復活した姿を見せた。先発の塩見貴洋投手(27)は7回2失点と粘投。7回2死一、二塁から、7番の銀次一塁手(28)が逆転の適時二塁打を放ち、チームは長いトンネルを抜け出した。

 楽天が、いつもの勝ちパターンで長い連敗から脱出した。3-2と1点リードの9回、コボスタ宮城のマウンドで守護神の松井裕が躍動した。先頭の横尾を投ゴロに打ち取り、大野をスライダーで三振。続く代打矢野に四球を出したが、最後は2安打の陽岱鋼をチェンジアップで三振に仕留め、4日のロッテ戦以来のセーブを挙げた。「チームが勝ってよかった。コボスタではファンの後押しがある。ここで再スタートを切れたのは大きい」。球団創設以来、本拠地最多の2万6786人の観衆と喜びを分かち合った。

 苦しんだ末に手にしたセーブだった。5日のロッテ戦で自己ワーストタイの6失点。14日から2日連続で再びロッテに土をつけられる屈辱を味わった。泥沼の9連敗も、自らのセーブ失敗から始まった。「自分を見つめる、いい機会になりました」。前回登板から12日。実戦から遠ざかっていたが、「去年も10日以上空いたのが2回あったんで、そこまで意識はしませんでした」。絶対的な守護神として33セーブを挙げた昨年の経験から、前を向いて調整に励んだ。

 不調の原因がフォームの体重移動であることを、理解していた。与田投手コーチは、「そこがしっかりしていなければ、リリースがばらばらになる。ここ数日はブルペンでもよくなっていた」と復調を予感していた。松井裕も、「(投球動作の際)軸足で立ったときに足の裏で体重を感じることができた。ブルペンでやってきたことができてよかった」。手応えをパフォーマンスで発揮した。

 やっと本来の勝ちパターンで連敗をストップさせた梨田監督は、「松井は最後をよく締めてくれた」と評価した一方で、「ひとつ勝ったから良しというのではない。まだ明日もある」と気を引き締めた。連敗中は投打に精彩を欠いたが、先発した塩見の粘投、選手会長銀次の逆転打と理想的な形で勝利し、巻き返す形はできた。【田口元義】