重圧を楽しんだ。ロウソクを吹くように火を消した。1点リードの7回1死満塁。マウンドに上がった日本ハム宮西尚生投手が、併殺で崖っぷちを脱した。この日で31歳。「(ピンチを招いた)谷元さんがいい誕生日プレゼントをくれた」。お立ち台で、晴れやかに笑った。

 雄平との勝負…のはずだった。ブルペンでも「左をイメージしながらつくっていた」が、ヤクルトベンチは、右の飯原を代打に送った。「びっくりした」。虚をつかれたが、気持ちを整理した。「自信のあるボールを、思い切って投げるだけ」。1ボールから、2球目は内に切れ込む宝刀スライダーで空振り。そして3球目。前の球と同じコースに直球を投げ込み、最高の結果を導き出した。

 オフに左肘手術を受け出遅れた今季だが、200ホールドを達成した5月14日西武戦を含め、17試合連続無失点中。「打者としっかり勝負できている」。充実感をみなぎらせた。

 9年目で唯一の同期となった中田とのヒーローインタビュー。好調の要因を問われ「ネズミちゃんがいなくなったので、楽に投げられています」。手術で除去した遊離軟骨、通称ネズミを指したものだが“ダダスベリ”。「専門的過ぎました? そこは反省です」。完璧だった誕生日に見事なオチをつけた。【本間翼】