これが内角球の打ち方だ! 巨人坂本勇人内野手(27)が「日本生命セ・パ交流戦」の楽天戦で、1点を追う8回1死二塁、逆転の14号2ランを放った。試合前には、あいさつに訪れた楽天オコエに内角球のさばき方などを助言するシーンがあった。第4打席まで無安打だったが、最後に強烈なお手本を見せつけた。チームは今季最多タイの18安打で、7失点での勝利は今季初。2連勝で勝率を5割に戻し、2位に浮上した。

 坂本が軸回転で、クルリと体を回転させた。1点を追う8回1死二塁、青山の内角直球を、左肘をたたんで真芯で捉えた。「(体が)きれいに回れました」と自画自賛のひと振りは、決勝の逆転2ラン。「スコアボードを見て僕だけ安打を打っていないなと寂しい思いをしていた。最後に打てて良かった」と喜んだ。

 試合前の練習を始める直前、三塁側ベンチから「坂本さん!」と声を掛けられた。同じSSK社のバットを使うオコエだった。「坂本さんモデルを使わせていただいています」と頭を下げられた。礼儀正しい注目ルーキーと、野球談議が始まった。身ぶり手ぶりで、得意とする内角打ちのアドバイスをした。「インコースは好きなので。簡単な球じゃなかったけど打てて良かった」と、試合ではオコエの頭上に大きな放物線を描き、貫禄を示した。

 注目のルーキーだけでなく、大記録を達成したイチローにも刺激を受けていた。日米通算4257安打に「安打を打つのはもちろん、トップに居続けてケガをせずに試合を出続けるのが一番すごいと思います」。この日もアーリーワークでランニングを敢行した。ケガ防止のため、体を温めてから練習に入っていた。

 長嶋終身名誉監督の傘寿イベントが行われた試合での決勝打に、「いい気をもらえたと思います」と感謝した。チームも打ち合いを制して2連勝。「交流戦はあと3試合。良い形で勝って終わりたい」と、浮上の手応えを確かなものにすると誓った。【浜本卓也】