今秋ドラフトの目玉が、復活へ向けて動きだした。創価大の最速156キロ右腕・田中正義投手(4年=創価)が5日、東京・八王子市内の同大学で練習を公開した。4月23日の東京新大学リーグ、共栄大1回戦で右肩痛を訴えて2回緊急降板。この日はそれ以来となる本格的な投球練習を再開する予定だったが、雨で今日6日に延期。軽めの調整となったが、笑顔を交え順調な回復ぶりを見せた。

 表情に不安はなかった。離脱後初となるブルペン投球は見送られたが、体育館で時折笑みを交えながら仲間と汗を流した。約1カ月半ぶりに報道陣の前に立つと「2、3週間前まで(肩の状態が)いい日と悪い日があったけど、最近は安定していい状態。順調ですし、不安もない」と言った。

 秋の完全復活だけを見据える。4月23日に戦線離脱後、右肩を休ませながら状態を整えてきた。約1カ月後の5月17日にネットスローを開始し、同24日にキャッチボールを再開した。距離は塁間、20メートルと少しずつ伸ばして「最近は50メートルくらいで投げている」と話した。6月中旬には、岸雅司監督(60)の地元山口で初めて行った投手強化合宿に参加。砂浜ダッシュなど、普段と違う環境で鍛えてきた。

 もう、急がない。今年2月上旬に右肩の違和感を訴えて調整が遅れ、3月の侍ジャパン招集が見送られた。4月5日のリーグ戦開幕には間に合わせたが、リーグ戦中に離脱。優勝を逃した責任を痛感するエース兼主将は「今も100(%の力)で投げようと思えば投げられるけど、8割くらいで球数を増やしていく」と、はやる気持ちを抑えた。6月末にマウンドの傾斜を使った立ち投げまでたどりついた。「皆さんにお見せできるような球になってきた」と手応えを口にした。

 今日6日は、日米大学野球選手権(12日開幕、新潟ほか)に出場する日本代表の合宿初日。ケガで代表から外れた右腕は「期待していただいていたのに申し訳ない」と話した。この日も日本ハム今成スカウトが視察に訪れるなど、注目度の高さは変わらない。挫折を味わった剛腕が、必ず主役に返り咲く。【鹿野雄太】