「3冠王」を射程にとらえた。DeNA筒香嘉智外野手(24)が6回2死三塁から1度は同点とする左中間適時二塁打を放ち、敗戦の中でもナインを鼓舞した。「絶対に自分がランナーをかえすぞと思って打席に入りました」と主将としての自覚を示した。月間31打点は99年7月のローズと並ぶ球団記録となったが「これからも今まで通りやっていきます」と個人記録には執着していない。

 ある工夫が好調の波を生んだ。7月18日のヤクルト3連戦(神宮)の試合前練習からフリー打撃の方法を変えた。両足をまったく動かさないゴルフスイングのようなノーステップで打ち始めた。福本打撃投手が気づき、目的を聞いたという。「へその動きとスイングの動きを一緒にしたいと言ってました」と明かす。腰が回転してへそが投手方向に向いてもバットが遅れて出てこなかったのを修正する狙いがあった。体の回転とスイングをシンクロさせる確認だった。しかも左方向に打つ。「逆方向に打つのは今年から。外角に投げてくださいと言ってきた。1カ所のビジターでも引っ張るのは最後の数球だけ」と言う。

 これを境に史上初の3戦連続マルチ本塁打、月間記録も更新する6度のマルチを含む日本人最多タイの16本を量産した。7月18日以降の12試合で10本塁打、5割1分3厘、打点も18と荒稼ぎ。本塁打はすでに2本差をつけトップだが、ヤクルト山田に対して打率は2厘差、打点も2差と肉薄し、3部門すべてで逆転する勢いだ。このまま筒香がチームを初のCSに導く。【矢後洋一】