西武菊池の顔には悔しさがにじんだ。7年目で初の10勝到達も、左足親指下のまめがむけ6回途中で無念の降板。3回終了後から症状が出ていたが「6回までは絶対投げたいと、おとこ気で言ったつもりが一番情けない形になってしまった。点差もあり完投しなきゃいけない試合。もっといい形で決めたかったのが一番です」と唇をかみしめた。

 2ケタ勝利に王手をかけて臨んだマウンドに「勝てるか不安もあった」。制球に苦しみながらも、粘り抜けたのは今年にかける強い決意からだった。昨年12月に青森・八戸で行われたトークショー。視察に訪れていた田辺監督から帰り際に声をかけられた。「『来年は任せたぞ』と。わざわざ青森まで来て声をかけていただいたんです」。岸や昨季勝ち頭の十亀がいる中で「まだ2ケタ勝っていない自分に開幕投手も託してくださった。それを意気に感じなきゃ、男じゃないですから」。覚悟を決め、指揮官の思いに結果で応えた。

 まめの状態は幸い軽症で次回も予定通り登板する見込み。「まだまだ日によって波が激しい。もっともっと信頼してもらうために課題が多いですが、残り試合、全部勝つつもりでいきたい」。ようやくつかんだ節目の白星も、まだまだ通過点にすぎない。【佐竹実】